都立高校入試スピーキングテストの概要と対策
2023年度から都立高校入試で導入される「英語スピーキングテスト」をご存知でしょうか?
英語の入試問題は、昔に比べてかなり実践的な内容になってきました。
単語や文法の丸暗記だけでは対応できないもの、リスニング分野では実生活に密着したような内容であるなど、いわゆる一夜漬けの勉強では太刀打ちできない問題が増えているように感じます。このような英語入試の流れに乗り、更に新たな英語の力を試す「英語スピーキングテスト」が導入されることになりました。
2023年度以降、都立高校入試の際に必須となったこのテスト。今回は、英語スピーキングテストの具体的内容やテスト対策についてお伝えします。
スピーキングテストの概要
英語スピーキングテストはESAT-Jと呼ばれ、English Speaking Achievement Test for Junior High School Students 略語です。
テスト導入の理由と背景
東京都教育委員会は、「東京グローバル人材育成計画」の一つとして“都立高校入試改革”が大きな取り組みの一つであると従事していました。
日本の未来をリードする人材を育てることが、グローバル社会を生み出す。そのためには、国際感覚と多様性、コミュニケーション力が必須となります。
このような能力を養っていくためには、都立高校入試に英語スピーキングテストを導入すべきであると決定しました。
テストの目的
小学校から中学校における東京都の一貫した英語教育の成果として、英語学習の理解力を図るための方法として、このテストが都立高校入試に導入されるに至ります。「話す力」から「使える英語」を身につけたグローバル人材を育成していくために重要な、いわゆる英語4技能の「話す力」の能力を試すのが目的です。
テスト導入の仕組み
・令和元年~2年度:都内公立(抽出)中学校3年生によるプレテストや確認プレテスト
・令和3年度:都内全公立中学校3年生による確認プレテスト
・令和4年度~:都内全公立中3年生・都立高校受験予定者のスピーキングテスト開始
問題形式
出題範囲
中学校学習指導要領に基づく内容、つまり文科省で定められた教科書レベルをベースに作成されたものと考えられ、特殊で難易度の高いものは出題範囲外と言えるでしょう。
テスト方法(アイテム)
テスト専用のタブレット端末、イヤホンマイク、防音用のイヤーマフ3点を使用し、試験が実施されます。
出題内容
4つのセクション(パートAからパートD)で構成されます。
全てのパートにおいて、録音開始の音が鳴ったら解答を始めます。
パートA. 音読問題:英文を音読する
・出題2問
・準備時間30秒・解答時間30秒
・指示(状況)は日本語で説明されている
・5文前後の書かれている英文を音読する
パートB. 質疑応答:質問を聞いて答える
・出題4問(応答3問(No.1~No.3)、発信1問(No.4))
・準備時間10秒・解答時間10秒
・指示内容は日本語で説明されている
・No.1~No.3は絵や図などを基に、記載された英語でのQuestionに答える
・No.4は絵や図、日本語の指示に従い、英語でQuestion(問い)を考えて発する
パートC. 内容説明:ストーリーの要旨等を英語で説明する
・出題1問
・準備時間30秒・解答時間40秒
・指示内容は日本語で説明されている
・4コマイラスト(日本語状況付き)を見てストーリー作成し、英語で語る
(登場人物になりきって、はっきり相手に伝わるように話すのがポイント)
パートD. 意見発信:自分の意見を述べる
・出題1問
・準備時間1分・解答時間40秒
・指示や状況は日本語で説明されている
・状況と書かれた英語の問いに対して、自分の意見とその理由を英語で語る
(聞かれていることにフォーカスし、適格にはっきりと話すのがポイント)
- 評価基準(ア~ウ)
(パートA~Dに該当する評価基準も併せてご紹介します。)
ア)意思疎通(コミュニケーション)達成度合い(2段階評価)
→上述の目的が成立しているかどうかを評価
・パートB : 設問に応じた内容が答えらえているかどうか
・パートC : イラストの各コマの事実が伝えられているかどうか
・パートD : 自分の意見を述べているかどうか・考えの理由を伝えているかどうか
イ)言語使用の達成度合い(5段階評価)
・語彙や文法(文構造)が正しく適切に使用されているかを評価
・内容の一貫性や論理性があるかどうかを評価
*パートC・パートDにおいて以下の5つの基準で評価
・英語とは程遠い(全く通じない)、発話がない等→×
・語彙使用に誤りが多い、単純事項は表現できる→△
・基本文法等に誤りが多いが、簡単描写やアイディアを羅列できるなど→〇
・言語使用は正確、複雑な内容の誤り等はあるがアイディアの順序立て等ができる→◎
・正確な言語操作、柔軟で豊富な語彙力やコミュニケーション能力を発揮→◎◎
ウ)音声全般の達成度合い(4段階評価)
・発音やイントネーション、音の強勢が適切かどうかを評価
・音節や音の区切りが適当であるかどうかを評価
*パートA・パートC・パートDにおいて以下の4つの基準で評価
・英語とは程遠い・発話量が測れない→×
・イントネーション等に母語の影響が強く、発音の誤りや沈黙が長い→△
・音の強勢やリズムが聞き手に混乱を招き、不自然な間や沈黙がある→〇
・発音は概ね正しく、聞き手に混乱は招かず、沈黙等がほとんどない→◎
開催時期・日時・都立高校入試活用法
令和4年度(2022年度)の英語スピーキングテストの実施スケジュールは
以下の通りです。
*申請時期:7月下旬~9月上旬
*申請方法:インターネット申し込み、または特別措置による申請
*試験日:11月27日(日)
*試験予備日:12月18日(日)
入試活用と合否
2023年2月の都立高校入試で、そのテスト結果を活用していきます。
(内訳)
・学力検査(700点満点)
・内申点(300点満点)
・スピーキングテスト(20点満点)
この3つの総合点数により合否が決まります。
*万一スピーキングテストを受けていない場合には、英語の学力検査の点数を基に
評価算出されます。
スピーキングテスト対策
都立高校入試に導入される目的、テスト内容や評価基準など、英語スピーキングテストの概要は分かったものの、どんな準備や対策をすればよいのかが一番気になるところでしょう。
以前のプレテストの結果を見てみると、答えが決まっている(明確)ものや語彙レベルで解答可能な問題に関しては、比較的正答率が高いようです。
しかし正答率が低い問題は、以下のような分野です。
- 状況描写(表現)する
- 場面に対応した適切な表現をする
- 意見を発する
こうして見てみると、決まりきった表現や文法などの型にはまった問題は、ある程度の暗記で解答できるようです。
しかし、コミュニケーション力のベースとも言える能動的な力(自発的な発信力)が不足している受験生が多く見られます。
スピーキングテストのパートBの後半やパートCおよびDにおいて、いかに点数を獲得するかで、合否の差が出てくるのではないかと思われます。
スピーキングテスト対策として考えられるもの
- 英検準2級や3級の過去問題集を使う
なぜ?
・スピーキングテストは英検2試験である面接形式に似ているため。
・スピーキング力は語彙や文法、リスニングの総合力と考えられるため。
- タブレット端末で音読や発話練習をする
なぜ?
・テストはタブレット端末に録音された音声が採点されるため
・録音音声をチェックし、発話の強弱や抑揚の改善ができる
マンツーマン個別指導塾で学ぶ
上に挙げた以外にも、スピーキングテスト対策は色々と考えられるでしょう。
しかし
高得点を獲得するには、プロの指導を受けるのがベストです。
なぜ個別指導が良いのか?
- 苦手な分野は人それぞれ違うため→不得意分野の集中学習
- 集団塾では緊張してしまう→他の人を気にせずに落ち着いて学べる
- スケジュールが忙しい→自分に合った時間に学べる
- 自宅での録音練習に自信がない→発音等をしっかりチェックしてもらえる
- 自分の英語表現が伝わるか不安→解決策を見出しテストへの自信へ繋がる
その他にも個別指導を受けるメリットはたくさんあります。
中学3年生は都立高校受験に向けて、英語スピーキングのみならず主要科目全てを勉強しなければなりません。
それを考慮すると、いかに効率よく学ぶかがカギとなります。
そのような受験生には、個別指導塾で学ぶのがベスト対策と言えるでしょう。
スピーキングテスト対策はネイティブ指導を行っている個別塾も多いため、テスト対策はもちろんですが、英語全般のネイティブ的な感覚も自然と身に付いてしまう利点も多いです。
2023年度都立高校入試から導入される、英語スピーキングテスト。
グローバル社会と言われるこの時代、真の国際人として将来を担う若者たちが
今必要な英語力は、自らの発信や発話といった能動的な力ではないでしょうか。
個別指導塾でのテスト対策を通しての学びが、大きく世界へ羽ばたくキッカケともなること間違いなしです。