日大基礎学力到達度テスト【社会】出題傾向と対策

はじめに
日本大学付属高等学校等で実施される基礎学力到達度テストは、附属校の内部進学を目指す生徒にとって非常に重要な試験です。社会科目について、高校3年生での出題範囲や傾向、難易度、頻出分野、そして対策法をまとめました。
この記事では、基礎学力到達度テストの社会の出題傾向や対策方法について解説します。
基礎学力到達度テスト概要
基礎学力到達度テストとは
基礎学力到達度テストは、日本大学の付属高校で行われる統一試験で、主に内部進学のための基準として活用されます。高校2年生(2年次)と高校3年生(3年次)に実施され、試験結果は進学判定や進路選択に大きく影響します。
社会科目の特徴
社会は、「高校3年9月のみ登場する選択科目」です。文系コースの生徒は「日本史探究」「世界史探究」「地理探究」「倫理」「政治経済」の中から自分が履修した1科目を選んで受験します。
試験問題は各科目ごとに用意されており、選択した科目について100点満点で評価されます。
試験内容と対策
①試験形式
- 試験時間:60分
- 配点:100点満点
- 出題形式:マークシート方式
②試験範囲
各科目とも、出題範囲はそれまでに学んだ教科書内容が中心です。
日本史や世界史、地理であれば高校3年夏までに履修した範囲、公共、倫理・政経の場合も各科目で未学習の最新単元は範囲外となる年があり、概ね各科目とも高3夏までの教材範囲が対象です。
【日本史探究】
- 古代史、中世史、近世史、文化史、テーマ史
【世界史探究】
- 古代オリエント史、古代中国史、イスラーム史、中世・近世の東アジア・中央アジア史、近世・近代の西洋史、テーマ史
- 18~20世紀の世界の動き(市民革命・産業革命)が出題
【地理総合と地理探究】
- 「地理総合」と「地理探求」で学ぶ全単元が対象
- 世界の地形・気候から人々の生活・産業、環境問題や防災、各地域の地誌まで、広範なテーマがカバーされる
- 現代的な地理課題(例:気候変動・難民問題・持続可能な開発など)や日本と世界の比較など、最新のトピックも含まれる
【公共と倫理】
- 青年期の課題、哲学分野、政治分野、経済分野
- ギリシア思想・中国思想・宗教、日本思想、西洋近代思想
【公共と政治経済】
- 青年期の課題、哲学分野、政治分野、経済分野
- 現代日本の政治、現代日本の経済、(選択問題)国際政治又は国際経済
③出題傾向
出題の特徴としてはどの科目も教科書の基本事項に基づく問題が中心で、難易度も標準レベルです。全問マーク式で記述問題はありませんが、一問一答の知識暗記だけでなく資料や図表を読み取る力も試されます。
世界史の過去問では地図や写真を使ったビジュアル問題が多く出題され、日本史でも史料文や年表を読み解く問題、地理では統計グラフや地形図の分析など、資料読解型の設問が増える傾向にあります。
設問内容はあくまで高校教科書レベルから大学共通テストレベルまでの基本事項で、奇をてらった難問は出ません。広い範囲から大量の設問が出るため基礎知識の横断的活用力が求められますが、政治・経済や現代社会では時事的なテーマに絡む問題が見られる年度もあり、ニュースで話題の社会問題や最新の統計データが題材になることもあります(国際情勢や経済の最新動向など)。総じて、社会科目は基本用語や年代の正確な把握と資料読解力が鍵となるでしょう。
日本史の出来事を世界史的な視点で捉える出題や世界各地の出来事を相互に関連付けて問うような問題も想定されるため、視野を広く持つことが大切です。
④出題内容
【日本史探究】
大問は通史の時代区分ごとに構成されます。設問形式は毎年ほぼパターンが決まっており、語句の穴埋め問題、人物名や用語の単純選択、文章の正誤判定や組み合わせ、年表の空欄補充や出来事の年代整序などが中心です。史料問題も出題される場合があり、短い文章史料や写真・絵図版を読んで、その背景や内容に関する設問に答えさせることもあります。難易度自体は教科書の基本事項を押さえていれば標準的で、奇をてらった設問は少ない傾向です。
- 近現代の政治・外交史(明治政府の政策、大正デモクラシー、戦時下の体制、戦後改革など)に関する問題
- 経済社会の変化(産業革命、高度経済成長期など)に関する問題
- 全範囲から万遍なく出題されるが、特に近代以降は詳細な知識まで問われやすいため注意が必要
【世界史探究】
典型的な設問形式は日本史と共通しています。具体的には、語句の穴埋めや正誤問題、年代整序などが毎回出題されており、基本事項の確認が中心です。例えば、「産業革命期の発明品と発明者の組み合わせ」「出来事の年代順整序」「条約名の正誤判定」といった具合です。難易度は易しめ~標準レベルで、高校教科書の内容をしっかり理解していれば対応可能な問題がほとんどです。
- 全範囲からバランスよく出題される
- 市民革命・産業革命までの時期
- 一つの大問内で複数の地域・時代の出来事を関連付けて考察させる問題もみられ、世界全体の歴史の流れを意識した学習が求められる
【地理総合と地理探究】
基本的な知識にもとづいて資料やデータを読み取り分析する力を試す問題が多いです。地形図・統計グラフ・写真など複数の資料を組み合わせ、考察させる設問が中心で、単純に地名や用語を暗記しただけでは解けない問題構成です。気候や産業に関するグラフを読み比べて地域の特徴を推測する問題、複数の選択肢の正誤を組み合わせて答える正誤判定問題などが出題される傾向があります。
- 総合科目(地理総合)的な基本事項
- 探究科目としての発展的内容が問われる
- 地形、気候・植生・土壌、農林水産業、資源・エネルギー・工業、地球的な課題、地誌
- 産業構造や都市問題、自然環境と防災、世界と日本の相互関係などが挙げられ、複数年にわたり類似テーマが扱われることもある
【公共と倫理】
倫理分野の設問は主に思想・人物の組み合わせや内容整合を問うものです。公共分野の設問は、現代社会の仕組みや時事的テーマに関する基礎知識を問います。
全体として、どちらの分野も基本事項を理解していれば得点しやすい問題が多く、奇問はほとんどありません。難易度は教科書~基礎的レベルですが、倫理では人物名や用語を混同しない注意力、公共では時事用語の理解が要求されます。
- 倫理では古代~近世の思想史(ギリシャ哲学・儒教・仏教など)と近現代の思想(ルソーやカント、功利主義や実存主義など)がバランスよく出題されている
- 一問一答形式だけでなく、思想家の主張を比較するような問題もみられる
- 公共では、日本国憲法や政治制度に関する基本問題(国会・内閣・司法の役割、地方自治の原則など)や、経済の基礎知識(需要と供給、金融政策の役割など)、そして人口減少やグローバル化といった現代的課題に絡めた設問が出題されている
【公共と政治経済】
政治分野と経済分野からバランスよく問題が出るのが一般的です。
政治分野では、日本国憲法の基本原則や統治機構に関する基礎知識、選挙制度・政党政治、地方自治などについての正誤判定や穴埋めが定番です。
経済分野では、需給曲線や国民所得の計算といった基本的な経済原理の理解を問う問題や、経済政策・金融政策の効果に関する文章の空欄補充、国際経済に関する用語の組み合わせなどが出題されます。全体として、教科書レベルの基本用語・仕組みを理解していれば8割程度の得点は十分可能な難易度ですが、設問数が多く幅広い分野から出るため、知識の抜け漏れがあると取りこぼしにつながります。
- 政治分野では日本国憲法の条文理解(とくに基本的人権や統治機構に関する箇所)や選挙制度の特徴(小選挙区制と比例代表制、公職選挙法の規定など)の問題
- 経済分野では日本銀行の金融政策(公開市場操作や政策金利)や財政政策(政府支出・増減税の景気への影響)といったテーマ、さらに国際経済では為替レートの変動要因や貿易摩擦に関する基本的な設問が見られる
- 公共分野としては、安全保障や国際連合など国際関係の基本事項が問われることもある
⑤対策
【日本史探究】
- 教科書を通読して日本史の全体像を把握し、重要な年号や人物・用語を押さえる
- 過去問題集を解き、頻出のテーマやパターンに慣れることが得点への近道
- 過去問演習を通じて語句の確認や年代整序の練習を繰り返す
- 近現代史は特に入念に復習し、政治史の流れや戦争・条約の因果関係を整理しておくと応用が利く
- 基本事項の理解ができていれば高得点も狙える試験なので、教科書準拠の問題集や学校配布のワークを使った基礎固めが効果的
【世界史探究】
- 世界史は範囲が非常に広いため、通史の反復学習で基本事項を漏れなく記憶することが重要
- 語句の暗記だけでなく、それぞれの出来事がどのように繋がり影響し合っているかを意識すると記憶に定着しやすく、正誤問題などにも対応しやすくなる
- 世界各地の地理的な位置関係や歴史資料の基礎知識も押さえておきましょう。
- 文化史や外交史なども忘れずに一通り目を通し、苦手分野を残さないことが高得点のコツ
- 難易度は高くないため、深掘りしすぎるより教科書の基礎を万遍なく習得することが最善の対策
【地理総合と地理探究】
- 教科書・授業で扱った基本事項を確実に理解し、地図帳や統計資料集で地理データの読み取り練習をする
- 出題範囲が広く資料問題中心で量も多いため、時間内に処理する演習力が必要
- 過去問演習が特に有効で、傾向に沿った対策を重ねることで得点力が上がる
【公共と倫理】
- 教科書や資料集の図表を活用して思想家ごとの主張やキーワードを整理する。系統ごと(古代ギリシャ、東洋思想、近代西洋など)にまとめ、自分なりの比較表を作ると人物の区別がつきやすくなる
- 暗記科目と思われがちだが、背景となる歴史や社会状況と合わせて考えると理解しやすい
- 過去問演習を通じてよく出る思想家・頻出テーマを把握し、重点的に復習する
- 公共分野では、新聞やニュースで耳にする時事用語も含めて基本概念を押さえる。特に憲法や政治制度は教科書記載の表や図で仕組みを理解し、経済用語(GDPやインフレなど)は身近な例に置き換えてイメージするとよい
【公共と政治経済】
- 教科書と資料集の熟読が何より重要
- 政治分野では憲法の条文や国会・内閣・裁判所の仕組みについて、図解などで整理すると理解しやすくなる
- 経済分野はグラフや計算式も出てきますが、基礎学力到達度テストでは複雑な計算問題は出ないため、概念の意味を正確に覚えることに注力する。
- レベル的には教科書の内容を確実にしておけば十分対応可能。難解な参考書に手を広げるよりも、学校の授業ノートや基本問題集の反復で基礎固めをすることが高得点への近道
過去問の活用と学習教材
過去問の活用
基礎学力到達度テストの過去問を活用することは、最も効率的な対策のひとつです。新学習要領での出題は2024年から始まっているので出題傾向を分析し、頻出テーマを重点的に学習しましょう。
おすすめの教材
- 『日本大学付属高等学校等 基礎学力到達度テスト 問題と詳解 地理・歴史公民 2025年度版』(清水書院)
まとめ
学習のポイント
- 教科書傍用問題集や授業プリントで基礎~標準問題を完璧にする。
- 過去問演習を通じてパターンを把握し、頻出分野を重点的に学習することが効果的。
- 教科書⇒授業ノート⇒過去問の順に基礎を固め、反復練習することこそが高得点への近道
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