都立高入試英語スピーキングテスト ESAT-jとは何か?その対策

 

都立高校の入学試験において、いよいよ「英語スピーキングテスト」が始まります。

 

これは英語4技能のうち「受験生がどれくらい英語で話す力があるか」をみるための試験です。
初となるテストは2022年(令和4年)に実施され、その結果は2023年(令和5年)度入学者選抜に活用されます。

 

英語スピーキングテストに採用されるのはESAT-jEnglish Speaking Achievement Test for Junior High School Students、中学生のための英語発話力達成試験)です。通称「中学校英語スピーキングテスト」と呼ばれており、事業主体は東京都でベネッセコーポレーションと共同実施しています。

今回はESAT-jについて解説していきます。

 

 

導入の背景

なぜ、都立高入試で英語スピーキングテストが実施されるのでしょうか?


導入の背景には、東京都が計画的に進めてきた「グローバル人材育成計画」があります。
小中学校で身につけた英語のコミュニケーション能力を高校でさらに向上させることが目的です。

そもそも入試の目的は、高校入学後に授業内容にしっかりついていける学力を備えているかを測ることです。この目的に沿うと、ESAT-jの受験生には「中学生の達成レベル」の発話力が十分備わっていることが期待されます。


逆に言えば、英語上級者やネイティブスピーカーのように流暢に発音し、高度な表現力を身につける必要はありません。あくまで中学校の学習内容に習熟したうえでの表現力を求めていることから、東京都は「アチーブメントテスト」と位置づけています。

導入経緯

・令和元年~2年度

都内公立(抽出)中学校3年生によるプレテスト、及び確認プレテスト

・令和3年度

都内全公立中学校3年生による確認プレテスト

・令和4年度~

都内全公立中3年生・都立高校受験予定者のスピーキングテスト開始

と段階的に導入されています。

点数配分

都立高入試の点数配分は以下の通りです。

学力試験
700
調査書300
スピーキングテスト20
 (6段階評価:A20点、B=16点、C=12点、D=8点、E=4点、F0点)
合計1020

従来の学力試験と調査書に、英語スピーキングテストが新たに加わった形です。
配点はそれほど高くありませんが、通常の英語試験とは別の配分になります。

ESAT-jの実施要項

令和4年度の実施要項をみてみましょう。

日時

20221127日(日)(予備日:1218日(日))

場所

都立高校や民間施設等(会場がある地域のバランス、各中学校における生徒数や使用できる会場の収容人数を考慮して決定)

対象

都内公立中学の3年生全員、及び都内在住あるいは都内の私立・国立中学3年の希望者

試験方法

受験者はタブレット端末を使い、音声を吹き込んで解答します。

使用機材・器具

・テスト専用のタブレット端末

・イヤホンマイク

・防音用のイヤーマフ

採点

大学の学位やTESOL等英語教授法の資格をもつなど、高い英語力と英語教育に関する専門性のある専任スタッフがフィリピンで約8万人分を採点します(研修を受講し、修了テストに合格した場合のみ、採点業務に従事)。
都教育委員会が監修した基準に従い、複数の採点者による採点・審査を経て結果が確定します。

採点基準

「コミュニケーションが達成できているか(相手の求めていることに答えているか)」「言語使用は適切であったか」「相手に伝わる音声で話せているか」の3つの観点で評価されます。

評価

「絶対評価」による6段階の段階別評価(ESAT-j GRADE)(※基準に達していれば全員が「A」評価を得ることもあります)

結果発表

令和51月中旬頃(予備日受験の場合は1月下旬)に成績票が渡され、20点満点で調査書に記載。都立高入試に加算されます。

 

問題形式

ESAT-jは4つのセクションで構成されます。問題文は日本語です。

パートA(音読)

・出題2

・準備時間、解答時間ともに30

5文前後の書かれている英文を音読する

パートB質疑応答)

・出題4問(応答3問(No.1No.3)、発信1問(No.4))

・準備時間、解答時間ともに10

No.1~No.3 絵や図などを基に、記載された問いに答える

No.4 絵や図、日本語の指示に従い、自ら問いを発する

パートC内容説明:ストーリーの要旨等を説明する)

・出題1

・準備時間30秒、解答時間40

4コマイラスト(日本語状況付き)を見てストーリーを作成して話す


パートD(自分の意見を述べる)

・出題1

・準備時間1分、解答時間40

・問いに対して、自分の意見とその理由を話す

出題内容

ESAT-jは現時点(202211月初旬)では未実施ですが、参考までに令和3年度のプレテストの出題をみてみましょう。

パートA(音読)

On my first day here, I was sad because i couldn’t see my family. But everyone was kind to me, so I felt better.

パートB質疑応答)

(イラストを見ながら)”What do we need to take to the event?の質問を聴いて答える

パートC4コママンガの説明

(マンガの内容)ピアノを弾きたいと思い、ピアノの本を探していると本棚の上から本が落ちてきて、それはピアノの本だった。

パートD(自分の意見を理由つきで説明

I heard on TV that students in Japan clean their own schools. At my school, school workers do that. I’d like to hear your opinion on this. Who should clean the school and why do you think so?

 

以上のように、慣れていないと即座に答えることが難しい内容になっています(特にパートC、パートD)。

準備時間も10秒~1分と短いため、事前の対策が必須です。

対策としては、語彙を増やして基本的な単語の発音をチェックしつつ、過去問(プレテスト)など実際の問題に即した形で何度も繰り返し練習することです。
目標としては、最高評価の
Aは難しくとも、せめてBCを取れるよう準備したいところです。

テストの評価基準について

スピーキングは、リーディング・リスニング・ライティングに比べて決まった正解がありません。

評価が不明瞭になるのでは?という先入観や懸念を持たれがちです。
何度も受験できる民間試験とは違い、生徒の大切な将来を決定する一度きりの入試でそのようなテストを導入してよいか、賛否両論の声もあります。


たしかに、ひと昔前の英語スピーキングテストの評価は少人数の面接官に委ねられていたため、主観的な部分があったのは否めません。
ESAT-jでは、マイクやタブレット端末を利用して音声データが録音されるため、面接官の聞き漏らしはありません。採点にあたるのは研修を受けた英語教育の専門家らであり、一定の客観性が担保されています。
また、絶対評価ですので受験生本人の実力が反映されやすくなっています。

 

まとめ

都立高入試で初めて導入される英語スピーキングテスト「ESAT-j」。

新たな試みだけに受験生の方はもちろん、中学12年生の皆さんや保護者の方々は動向が気になることでしょう。より詳しい情報をお知りになりたい方は、東京都教育委員会の特設ページや国際教育・東京ポータルサイトをチェックしてみてください。

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参考サイト

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2021/release20210924_03.html

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/esat-j.html

https://www.tokyo-portal-edu.metro.tokyo.lg.jp/speaking-test.html

https://www.seisekiup.net/column/study/1651/