高校新1年生のための、2020年大学入試共通テストに向けた対策について:第3回(全3回)

八王子の高校新1年生のための、2020年入試改革に向けた対策について
第3回(全3回):国語新テスト対策

前回に引き続き、八王子の高校1年生でもとっつきやすい入試改革後の国語の対策について考えていきたいと思います。

国語は入試改革で一体何が変わるのか

今までのセンター試験はどのような問題形式で出題されているか。

まずは現状のセンター試験の国語について簡単に説明しましょう。

国語は大問が4つです。1問目が評論の読解問題、2問目が小説の読解問題、3問目が古文、4問目が漢文です。
制限時間は80分、得点は200点満点です。マークの個数は全問で32から39個ぐらい、漢字などの知識問題も出題されますが、ほぼ読解が中心です。

現代文のテストの形式は与えられた評論文にいくつか下線が引かれ、その下線についてどういうことかとか、なぜそういうことが言えるのかとか、全体の要旨が問われるのがメインです。
限られた時間内で文章を理解するにはなかなか分量があり、文章のレベルも高く、なまじっかな知識と読解力では解けないということがよく言われています。

これのどこが問題なのでしょうか?

センター国語の問題点

1.表現力がはかれない。
英語のライティングに相当する学力をつけさせることができないのが問題です。

2.運で正解できてしまう面がある。
国語はそれぞれの問題の選択肢の数が少ないです。だから論理的な道筋を辿らなくても運や勘で正解できたり、不正解になることが多いという問題があります。

3テクニックで解けてしまう面がある。
国語の現代文は選択肢を読むと、テクニックである程度正解が絞り込めてしまったり、正解もできてしまう問題がありました。

どのように変わるのか?

変わる点1 すべて記述式で答えなければいけない現代文の大問が1つ増える。

現代文の大問が一つ増えます。内容は、評論文や小説などの文章ではなく、学校などといった身近な素材を使って話し合いなどが行われているオリジナルの文章がまず与えられます。それからその文章のテーマに関する、周囲の意見を調査した表や、その話し合いの結果作られた新聞などといった資料が3つから4つのほど与えられます。

その文章に下線が引かれていたり、空欄になっていたりする箇所が数箇所あり、その下線部分の説明を問う問題や、空欄になっている部分には当てはまる言葉問う問題です。

受験者は、与えられている資料などから正解の根拠を見つけ、何文字以内などといった条件に従いながら、記述式で答えるのです。

これは今までのセンター試験では全くなかった確かにまったく新しい問題です。

変わる点2 時間が増える。
この大問1問が増えた分、センター試験よりも20分ほど長くなった100分の試験時間になります。

八王子の国語対策について

では新一年生はどのようにしてこのまったく新しい問題の対策を進めて行けば良いのでしょうか。

八王子の大学入学共通テスト国語対策1――テストの動向をこまめにチェックする。

これは前回の英語対策と同じです。
情報を得て勉強の労力を少しでも減らすことは、とても重要です。大学に合格した人達は誰もが確かに苦労していますが、だからといって、苦労をすれば受かると考えてはいけません。大学に合格するために苦労は必要ですが、どんな苦労でもよいわけではありません。情報を集めて見つけ出した目的に適う苦労でもなければいけないのです。

さまざまな資料の中から答えに相当する部分を見つけ出すこの新しい国語の問題は、表現力と同時に「情報処理能力」も問われていると考えられます。だから新テストの動向をネットや本を使って調べることは、まさにそのまま国語の新テストを解く勉強にもなっています。

そして、的確に情報を集め、できるだけスピーディに成果を出すという能力は、まさに、これからのグローバル化やIT化が進んでゆく社会において最も求められている能力です。

八王子の大学入学共通テスト国語対策2――過去問を解いてみる。

古文や漢文は知識がある程度必要ですが、現代文はそれほど積み重ねが必要な科目ではありません。いや、全科目の中で、もっとも積み重ねではない科目と言えるかもしれません。だから現代文の過去問に挑戦してみるのは、早過ぎということもないのです。逆にこれから3年間、突如成績が上がったりすることも少ない科目です。あまり努力が成果に結びつきにくいのです。

ですからセンター試験の過去問を早めに取り組んで雰囲気を知り、これから国語の授業を受ける時に「大学入学共通テストでどう役に立つか」という視点で受けることができるようにして、一回一回の授業の密度が上げておいた方が、受験生になった時に役に立ちます。

大学入学共通テスト八王子流国語対策3――解答の根拠を探す訓練を積む。

八王子の新一年生に頭に入れておいて欲しいのは、記述式の問題だからといって自分の考えや意見を答えにするということはまずありません。答えには必ず根拠があって一つだということです。一字一句すべてが同じである必要はありませんが、微妙に言い周しが変わるだけで、答えは必ず一つです。

他の現代文の問題についてもそうですが、国語の答えの根拠は文章中から探し出すのが基本です。つまり記述式になった場合も、ベースは「文章を抜き出す」という感覚でいれば良い。自分で何か独自の考えを書くわけではない。ほぼ与えられた文章の該当箇所を、「書き写す」と言っても過言ではありません。ただ書き写しただけでは、形式的に質問の答えになっていなかったりします。たとえば「なぜか」という質問ならば、「なになにだから」と答え、「どういうことか」という質問ならば「なになにということ」と答えなければいけません。それから指定の文字数に合わせる必要もあります。あくまでそうした条件に合わせて文章に若干のアレンジを加えるだけで、ベースは「書き写す」に過ぎないことを覚えておきましょう。

ですから国語問題の記述になっても、本質的な部分は結局書き写す該当箇所をできるだけ早くスピーディーに見つけ出すということになります。

ですから普段の授業でも、教科書の所々で「これはどういうことですか」とか「こう言っているがそれはなぜですか」とか言ったことが書いてあるので、その該当箇所がどこにあるのかということを、文章の中から瞬時に見つけ出すことを心掛け、同時に、見つけ出すためにはどの程度本文を深く読まなければいけないかをチェックするようにしておくとよいでしょう。

大学入学共通テスト八王子流国語対策4――活字に慣れる

国語で重要になってくるのは文章読解のスピードを上げることです。スピードを上げるには活字慣れすることです。普段から新聞や、ちょっと難しい本を読む習慣をつけておくとよいでしょう。

大学入学共通テスト八王子流国語対策5――集中力をつける

人間の集中力は50分程度が限界と言われています。試験時間100分はかなり過酷です。100分間頭をフル回転させ続けなければいけないことを意識して、普段の勉強計画も立てるようにしておきましょう。

以上現在分かる限りの範囲で高校新一年生に向けテスト制度が変わること、そしてその対策について3回にわたってご説明してきました。

高校受験を終えたばかりで大学受験のことはまだ考えたくないと思うかもしれません。でも高校受験を終えたばかりで勉強癖もついていて、合格の喜びもリアルに覚えている今だからこそ、どんどん大学受験対策を進めていかないともったいないのです。高校生活に慣れると、モチベーションが下がり、どうしてもダラけてきてしまうものです。今のうちにしっかりとアドバンテージを取っておいて、悪いことはありません。

ではどうか、勉強も含めて、あなたの高校三年間がとても楽しく、あなたの人生にとってかけがえのないイベントがたくさん巻き起こることを、八王子よりお祈りしております。

【参考文献】
2018年版 センター試験過去問研究国語(教学社)