慶應義塾湘南藤沢高等部の特徴と内部進学対策
慶應義塾湘南藤沢中等部は、神奈川県藤沢市にある、慶應義塾が運営・設置する中高一貫教育です。慶應義塾の一貫教育校の中で、唯一の中高一貫校であること、高等部も男女共学であることから非常に人気のある学校です。
この記事では、慶應義塾湘南藤沢高等部がどのような特色を持つ学校なのかや、気になる内部進学に関する情報と対策をお伝えします。
慶應義塾湘南藤沢高等部の概要と特色
慶應義塾は小学校過程から大学院まで一貫教育を行っています。慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部は、1990年に開設された慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス（略称：ＳＦＣ）内に、1992年に開設された、比較的新しい学校です。
ＳＦＣのキャンパス内には、総合政策学部、環境情報学部、政策・メディア研究科、看護医療学部、健康マネジメント研究科などがあり、充実した環境の中で学ぶことができます。
所在地・アクセス
〒252-0816 神奈川県藤沢市遠藤5466番地
最寄駅からのアクセス
・小田急江ノ島線、相模鉄道いずみ野線、横浜市営地下鉄ブルーライン湘南台駅より
神奈川中央交通バス 約15分「慶応中高等部前」下車
・JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)辻堂駅より
神奈川中央交通バス 約25分「中高降車場」下車
教育理念
慶應義塾では、学祖である福澤諭吉の思いが脈々と受け継がれています。
慶應義塾では、学祖である福澤諭吉の思いが脈々と受け継がれています。
慶應義塾の教育理念は、「独立自尊」、この四文字に要約されます。何者にも屈せず、誰にもおごらず。権威や慣習、常識なるものに囚われず、何事もただ己の良識と信念にのみ照らし合わせて、考え行動しよう。こうした態度を身につけることを、学問する狙いとしています。成熟した個人なくして、成熟した社会はありえない。福澤の言葉では「一身独立して一国独立する」のです。
引用元：理念と校風
この独立自尊の言葉を体現した、時代の先駆者の育成を理念としています。
慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部の教育目的
慶應義塾の教育理念を受け、慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部は「社会的責任を自覚し、知性、感性、体力にバランスの取れた教養人の育成」を目的にしています。
また中高６年間の一貫教育を通じて、
「真の学問に根ざした情操豊かな創造力」
引用元：慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部学校案内
「深く思いやることで本質を探ることができる高い共感力」
「日本文化を大切にしながらもグローバルな視野に立った判断力」
「積極的に社会に貢献しようとする行動力」
以上の４つの力を育むことを目標にしています。
慶應義塾の伝統を受け継ぎながら、未来を見据えて自ら行動できる先駆者を育てたいという思いが伝わります。
慶應義塾湘南藤沢高等部の特色
ここでは、慶應義塾湘南藤沢高等部の特色についてお伝えします。
多様性の中で育まれる生徒の「個性」を大切にする中高一貫・男女共学の学校です。生徒たちは皆、自分の個性に誇りを持ち、お互いの個性を尊重します。「空気を読む」のではなく「空気を創る」という雰囲気があります。
引用元：慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部学校案内
上記のように学校案内にあるように、慶應義塾湘南藤沢高等部では、時代の変化に柔軟に対応しながら、生徒の個性や適性、発達段階に応じつつ、福澤諭吉の実学の精神を受け継いだきめ細やかな教育を展開しています。
①個性を伸ばし、育む文化
慶應義塾の教育理念と、「社会の良識が校則」という考えのもと、細かい校則はありません。日常の学校生活の服装も含め、自由な雰囲気のもと、自己責任や社会的責任についての自覚を身につけます。
パンフレットやホームページに記載されてある通り、校則は「社会の良識」ですので、生徒自身の判断にゆだねられている形です。そのため、在校生には何人か奇抜な髪色の人もいます。
引用元：みんなの高校情報｜慶應義塾湘南藤沢高等部
と、在校生の口コミにも見られるように、頭髪等の決まりも含めて自由な校風です。またスマホの利用に関することなどは、中等部に比べると決まりごとが少なくなるようです。
②未来を拓く異文化理解と多様性
中等部入学段階で、横浜初等部・幼稚舎からの内部進学生に加え、一般入試で入学する生徒、帰国生入試で入学する生徒と、様々なバックグラウンドを持った生徒が集まっていますが、高等部入学段階では、中等部からの内部進学生に加え、帰国生徒入試で約20名、首都圏以外からの生徒を受け入れる全国枠入試で約30名、さらに普通部と中等部からの内部進学者約30名の合計80名が合流します。
そのような多様性の中だからこそ、様々な文化に触れ、個性を磨き上げていくことができます。
外国語教育
帰国生が多いことに加え各学年に英語を母語とする担任が配置されており、日常的に多言語が飛び交う環境が身近なことから、異文化間交流が自然な形で行われています。
英語の授業は、帰国生は週６時間、そうでない生徒も週２時間、英語母語話者の教員による授業が行われます。授業は習熟度別に２つのクラスに分けられ、それぞれのレベルに合わせて力を伸ばしていくことができます。
外国語は世界平和実現のためのツールとして位置付けられており、文法や語彙の習得にとどまらず、短期留学生との交流やプレゼンテーション、ディスカッション、エッセイを書くなど、英語を「活かす」活動を通じて、英語を使って様々な分野で活躍できる人材を育成することを目標に教育が行われています。
５年生、６年生と呼ばれる高等部２年生と３年生は、第二外国語としてフランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、朝鮮語から一言語を選択し、2年間学びます。
留学プログラム
学校独自の短期留学プログラムに加え、慶應義塾一貫教育校派遣留学制度を利用し、米国・英国の名門ボーディングスクールに１年間留学できる制度があります。
高等部２年生を対象にしたものが多いですが、３年生を対象にしたものもある点が大きな特徴です。大学への内部進学が可能な一貫教育校ならではと言えるでしょう。派遣生には奨学金として、派遣留学先での授業料や寮費と諸経費の一部を日本円で一括給付するなど、充実した留学制度が整っています。
③実践につながるＩＣＴ教育
さまざまな教科において充実したＩＣＴ環境を活用した教育に取り組み、教科の枠を超えて「情報の価値」を正しく判断し、発信する力を身につけるための取り組みを各学年で段階に応じて行っています。
慶應義塾湘南藤沢高等部の情報教育を支えているのは、充実した情報教育設備です。生徒への貸し出し用パソコン・タブレットは、全部で600台と十分な数用意されているほか、高等部生は自分のノートパソコンを校内に持ち込み、学習に役立てることができます。なお、購入は任意です。
動画編集などの、実社会で役立つスキルも身に着けることができます。
④先駆者を育てる一貫教育
慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部は、慶應義塾で唯一の中高一貫校です。１年生から、6年生と呼ばれる高等部３年生まで、様々な場面で互いに協力し、学び合うことで、慶應義塾の「半学半教」の精神を体現しています。
生徒は卒業後、慶應義塾の他の一貫教育校と同様、慶應義塾大学へ内部進学することができます。したがって、受験のための学習に囚われず、学びの幅を自由に広げていくことができます。
⑤多様な学びのカリキュラム
一貫校である強みを活かし、大学受験に囚われない、多様なカリキュラムが展開されています。
魅力溢れる特別プログラム
学校生活を通じて、美術・音楽・技術家庭・保健体育等も含め、幅広い内容を学ぶことができる点も大きな強みです。１年間の終わり、学年末試験の終了後には、文学や芸術、生活などの幅広い分野と結びついた様々な講座が開講されています。
＜主なプログラム＞※高等部のもののみ抜粋
引用元：４つの特色｜慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部
・福澤先生記念講演会
・能・狂言鑑賞会(事前学習の時間もあります)
・芸術鑑賞会
・合唱コンクール
・BLS講習会
・百人一首大会
・科学入門講座
大学での学びにつながる選択授業
5年生までは、あえて教科を絞り込まずに幅広く様々な科目を学び基礎学力を養い、6年生では文型科目中心のI類、と、理系科目中心のII類に分かれ、より高度な学びに臨みます。一般的な選択科目に加え、日本や世界の地誌、現代経済、解析学、物質の科学/地球･惑星の科学、現象の科学/音楽史、工芸、メディアの編集と表現など、学校独自の選択科目も多く用意されており、高校内容を超えた幅広い様々な学問を学ぶことができます。
選択科目一覧は下記のとおりです。
探究国語、探究古典/世界地誌、日本地誌、動乱の日本史、動乱の世界史/ディベートリーグ、現代経済/代数学入門、解析学入門、幾何学入門、データ科学、応用数学、経済数学/生命科学I、生命科学II、物質の科学/地球･惑星の科学、現象の科学/音楽史、音楽表現、工芸、絵画、書道上級/Philosophy,Discussion & Debate, Speaking & Listening, Back to Basics/ホームプロジェクト/メディアの編集と表現、情報テクノロジー
引用元：慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部公式サイト｜教育-未来を創り出す力-｜カリキュラム
慶應義塾湘南藤沢高等部の内部進学状況と対策方法
慶應義塾の一貫教育校の生徒は、慶應義塾大学に内部進学する権利を有します。最近では、女優の芦田愛菜さんが慶應義塾女子高等学校から慶應義塾大学法学部へ進学したことが話題になりました。
ここでは、慶應義塾湘南藤沢高等部から慶應義塾大学への内部進学の状況と、内部進学に向けた対策についてお伝えします。
内部進学の条件
慶應義塾湘南藤沢高等部の卒業生は、ほぼ全員が推薦により慶應義塾大学に進学が、学部の選択については定員が設けられており、成績によって進学の可否が決まります。
学校のホームページには内部進学の基準について、次のように述べられています。
慶應義塾の小・中・高等学校は、共通する教育理念、教育目標を持っていますが、各学校の教育方針や具体的な教育運営はそれぞれ独立しています。 例えば、各高等学校の生徒は卒業後、そのほとんどが慶應義塾大学に進学しますが、大学の各学部で学ぶにふさわしいかどうかの判断は、大学ではなく 各高等学校がそれぞれ独自の選考・推薦に基づいて行っています。
引用元：慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部公式サイト｜進路｜卒業生の進路
したがって、一貫教育校の中でも学校によって、どの学部に何人進学できるのかは異なることが分かります。
大学の学部推薦に関わる実力試験は帰国生も一般生も同一の英語のテストを受けるので、やや帰国生に有利か。
引用元：みんなの高校情報｜慶應義塾湘南藤沢高等部
医学部進学はクラスに一人くらいの割合で難関。医学部受験のみ推薦と二股をかけられるが、外部受験のバックアップは皆無。
勉強しないと希望の学部には行けません。年に数回ある定期テストで一定の成績を取らないと希望の学部へ進学できません。
引用元：みんなの高校情報｜慶應義塾湘南藤沢高等部
という在校生・卒業生からの口コミを見ると、希望の学部に行くためには、定期試験や実力試験の成績が重要であることがわかります。
内部進学の状況
学校ホームページを参考に、直近３年間の各学部への進学状況をまとめたのが下の表です。
| 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | |
| 文 | 5 | 8 | 8 |
| 経済 | 60 | 60 | 60 |
| 法・法律 | 32 | 32 | 32 |
| 法・政治 | 32 | 32 | 32 |
| 商 | 16 | 17 | 22 |
| 医 | 7 | 7 | 7 |
| 理工 | 37 | 42 | 27 |
| 総合政策 | 15 | 15 | 20 |
| 環境情報 | 21 | 19 | 25 |
| 看護医療 | 0 | 4 | 2 |
| 薬学 | 5 | 3 | 2 |
| 薬科学 | 1 | 1 | 1 |
| 他 | 1 | 1 | 1 |
| 卒業生数 | 232 | 237 | 231 |
表を見ると、経済学部は60名、法学部は法学科と政治学科でそれぞれ32名、医学部は7名が定員のようであることが伺えます。これらの学部では内部進学者を決める際に、選抜が行われていると考えられます。他の学部も希望者の数によって、希望の学部に進学できない生徒がいるであろうことは容易に想像できます。
慶應義塾湘南藤沢高等部から慶應義塾大学への内部進学に向けた対策
内部進学の際に希望の学部へ進むためには、定期テストや実力テストの成績が重要であることがわかりました。加えて、出席状況や素行等も加味されるはずです。したがって、日頃から学習にしっかりと取り組み、苦手な科目を作らないようにすることが重要です。
そこで、希望の学部への進学をより確実なものとするためには、個別指導塾がおすすめです。
内部進学対策に個別指導塾がおすすめな理由
内部進学に向けた対策で個別指導塾をおすすめするのには、理由があります。
慶應義塾の一貫校では、大学への内部進学を前提に学校独自のカリキュラムを設定したり、教科書内容を超えたより学びの本質に迫るような内容を学習しています。慶應義塾湘南藤沢高等部では、独自設定科目が多くあることが一つの大きな特徴です。そのため、他の学校とは学習内容や進度が異なっています。すると自然に、一斉授業を行う塾とも進度が異なってきます。せっかく通塾していても、塾での学びが学校の成績と結びつきづらく、
「頑張っているのに成績が伸びない……」
「学校と塾の両方の宿題が負担……」
など、お子様が焦りや戸惑いを感じてしまうことも多くあります。だからこそ、お子様に合わせて個別に進度や内容を決めることができる個別指導塾がおすすめなのです。
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