慶應義塾志木高等学校の入試問題傾向と受験対策

慶應義塾志木高等学校は、埼玉県志木市にある、慶應義塾が設置している男子校です。

公立・私立を合わせた埼玉県の高校の中でトップの学力偏差値を誇りながら、広い敷地と自由な校風の中でのびのびと学べること、卒業後は慶應義塾大学へ内部進学できること、さらに交通の便が良く、首都圏全域から通学しやすいことから、大変人気があり、一般入試の難易度は高校入試としては、全国トップレベルであると言えます。

そのためこの記事では、慶應義塾志木高等学校の特色に加え、入試問題の傾向や受験対策についてご紹介していきます。

慶應義塾志木高等学校の概要と特色

慶應義塾志木高校は1948年の開学以降、慶應義塾の根本精神である「独立自尊」と精神を大切にしています。

目指す学校が自分に合う学校なのかを知ることは、入学後のミスマッチを防いだり、受験のモチベーションを保つうえでも重要です。

早い段階で学校案内を手に入れるなどしながら、どのような学校なのか情報収集を重ねていきましょう。

ここでは、慶應志木高校の基本的な学校情報や特色についてご紹介します。

所在地・アクセス

〒353ー0004 埼玉県志木市本町四丁目14番1号

【最寄り駅からのアクセス】

・東武東上線志木駅から徒歩7分

教育目標

学祖・福澤諭吉の残した「慶應義塾の目的」と「独立自尊」の精神に基づき、慶應志木高校では、4つの教育目標を掲げており、志木高生の建学の精神の涵養を目指すうえで、重要な指針になっています。

1.塾生としての誇りを持たせること

独立自尊の気風を養い、自主性のある、品格の高い、明るい塾生となる教育を行う。

2.基礎的な学問の習得

将来、社会の各分野で立派に活動するため、また本塾大学に進学する前段階として基礎的な学問を習得させ、学問・研究の必要性を知らせるとともに、自主的に学習するように指導する。特に大学一般教育課程に応じた学習指導に留意し、学力の全体的向上をはかる。

3.個性と能力をのばす教育

現在の生徒数による教育の長所を生かし、教員と生徒との人間的接触につとめながら個性と能力をのばす特色ある教育を行なう。

4.健康を積極的に増進させること

ただ健康管理に留意するのみでなく、各人に適したスポーツに参加することによって積極的に健康を増進させる。

引用元:志木高の教育目標|慶應義塾志木高等学校

生徒数

2023年4月1日現在での生徒数は、730名、1学年の定員は250名で、原則6クラス編成です。

慶應義塾志木高等学校の特色

慶應志木高校では、慶應義塾の歴史と伝統、建学の精神に裏打ちされた様々な特色のある教育活動が行われており、独立自尊の精神や実学の基礎に加え、将来の社会のリーダーに必要な素養を身に着けることができます。

①受験勉強に囚われない、独創的な授業

慶應志木高校の教員は、自ら学び続けながら教える「半学半教」をモットーとしており、専門的でありながら独創的な授業を展開しています。

さらに一貫教育校であることを活かし、受験のための点数を取る学習ではなく「自分を向上させるため」の学問の本質的な学びを体感することができます。

高校の学習内容を超え学問の真髄を追究する授業は、生徒たちの知的好奇心を刺激し、生涯を通して学び続ける態度を育成することにもつながっています。

②一学年250名、全ての生徒の顔が見える少人数教育

一学年250名と、高校単独の男子校としては比較的規模の小さい学校です。生徒一人ひとりの個性が尊重され、自由闊達なコミュニケーションが可能な規模だからこそ、多感な高校生という時期の中で固い絆で結ばれた生涯にわたる友情が培われるはずです。

また、生徒と教職員との間でも心の通った関係が醸成できることから、それぞれの生徒のバックグラウンドに応じた、きめ細かなサポートが可能となり、一人ひとりの精神的な成長を大きく後押しします。

③語学課外講座

週1回開かれている言語課外講座では、多様な言語と文化を学ぶことができます。中には、語学を専門に学ぶことができる大学でもあまり触れる機会がないような言語の講座も設定されています。言葉を通して濃密なコミュニケーションを取ることは、多感な年代の生徒たちにとって大きな意義を持つものになっています。

2023年度は、24の言語や文化に関する講座が開講されています。

④自由な校風

慶應志木高校は校則がなく、自由な校風が特徴の一つです。基本的なマナーを心得、他人に対する思いやりの気持ちがあれば、志木高生を拘束するものはありません。

制服はありますが、普段の服装は自由で、染髪やパーマ等も自由に行うことができます。日常的な朝礼や集会などは一切なく、授業のないいわゆる「空きコマ」の時間や昼休みには、校外へ外出することも自由です。

こうした自由な校風は、建学の精神である「独立自尊」に由来しています。緑豊かな環境や卒業すれば原則全員が慶應義塾大学へ進学可能であることも、こうした伸び伸びした校風を形成している要因でしょう。

⑤慶應義塾大学との連携

一貫校である強みを活かして、様々な場面で慶應義塾大学と連携した教育活動を活発に行っています。

大学授業への参加

大学の文学部や理工学部の授業を聴講できる制度が設けられており、ここで単位を取得すると、一定の条件を満たしていれば、大学進学後に大学の単位として認定してもらうことができます。

クラブ活動

多くの部活動が、大学や慶應義塾内の一貫教育校と連携し活動を行っています。大学からコーチを招いたり、慶早戦を共に戦ったり、塾内で対校戦が開催されたりするほか、日頃の練習も同じ場所で行っている部活動もあります。大学進学後も活動を続ける卒業生も多いため、先輩たちから大学の情報を聞いたり、学習や学校生活のアドバイス等をもらうこともできます。

⑥慶應義塾大学への内部進学

慶應志木高校の一番の強みは、卒業生は原則全員、慶應義塾大学に内部進学できることです。近年の内部進学生の進学状況は、下記のようになっています。

各学部には人数枠があり、希望の学部に進学できるとは限りませんが、1年次から大学進学を意識した行事が設定されるなど、興味・関心に基づいて進学する学部を決定できるような進路指導が行われます。

慶應義塾志木高等学校の入試情報

慶應志木高校の1学年の定員は250名で、原則6クラス編成です。

一般入試・帰国生入試による入学者約190名、自己推薦入試による入学者約40名に加え、慶應義塾中等部、慶應義塾普通部からも、本人・保護者の希望によって入学することができ、例年、20名程度の入学者がいます。ここでは、一般入試・帰国生入試と、自己推薦入試についての概要をお伝えします。

一般・帰国生入試

一般入試・帰国生入試の概要は下記のとおりです。

詳細については、必ず公式に発表されている募集要項(詳細はこちら)をご覧ください。

募集人数

男子約190名(帰国生入学試験による若干名を含む)

帰国生入試による入学者は例年20~40人程度のようです。

出願期間

2024年1月11日(木)~1月18日(木)(消印有効)簡易書留

入学検定料

30,000円

試験内容

一次試験:国語・数学・英語の3科目の筆記試験

二次試験:一次試験合格者を対象に行われる面接

日程

【1次試験】

試験日:2024年2月7日(水)

 (試験会場は慶應志木高校または慶應義塾大学(三田キャンパス)で、会場の選択はできません)

第1次試験合格発表:2024年2月10日(土)13:00(合格発表用ウェブサイト)

【2次試験】

試験日:2024年2月11日(日・祝)

合格発表:2024年2月12日(月・振休)10:00(合格発表用ウェブサイト)

自己推薦入試

生徒募集要項では、自己推薦入試について次のように書かれています。

自己推薦入試では、従来の筆記試験と面接による選考とは異なり、入学志願書と面接によって選考を行います。受験生の皆さんは、これまで自分が熱心に取り組んできた活動と、そこから自分が何を学んだかを入学志願書によって示してください。これは必ずしも大会、コンクール等の成績順位を重視するものではありません。自分が中学校生活を通じ真剣に取り組んできた活動によって何を得たかを示すことが大切です。

 入学志願書、面接を通して、これまで自分が得たこと、これから何を学ぼうと考えるのかを存分にアピールしてください。広く全国各地から意欲溢れる皆さんの応募を期待しています。

引用元:2024年度入試概要

自己推薦入試を受験して合格した場合、必ず入学しなければいけません。

出願資格

自己推薦入試に出願するためには、次の基準を満たす必要があります。

1、2024年3月に中学校を卒業見込の者。
2、本校を第一志望とする者。
3、入学志願者調査書(出願書類)において、(1)および(2)の基準を満たしている者。
(1) 国内の中学校あるいは国外の日本人学校において第3学年最新(3期制の場合は2学期、2期制の場合は2学期中間あるいは1学期)の評定(9教科の5段階評価)が合計38以上の者。
(2) 中学校入学後の欠席日数合計が30日以内の者。
 (ただし、病気・怪我あるいは大会出場等によるやむを得ない長期欠席のために、規定を満たさない場合は、診断書あるいは学校長からの事由書等を添えること。)
4、学校内外で、中学生として充実した諸活動を行い、それを入学志願書によって示すことのできる者。

この要項からは、何か一生懸命になれるものを持っている人、それを活かしてこれから学びたいことが明確である人が求められていることがわかります。

募集人数

男子約40名

出願期間

2024年1月5日(金)を配達日とする「簡易書留・配達日指定郵便」に限る。

入学検定料

30,000円

試験内容

一次試験:書類選考

二次試験:一次試験合格者を対象に行われる面接

日程

【1次試験】

合格発表:2024年1月22日(月)10:00(合格発表用ウェブサイト)

【2次試験】

試験日:2024年1月23日(火)

合格発表:2024年1月24日(水)10:00(合格発表用ウェブサイト)

慶應志木高等学校の一般入試に向けた傾向と対策

ここからは、一般入試を突破するために、国語・数学・英語の3科目の出題の傾向と対策をお伝えしていきます。

3科目とも試験時間は60分間で、100点満点のテストです。

国語の傾向と対策

2023年の国語の問題は、小説、論説文、古文、漢詩に関する説明文の大問4題でした。大問4の出題形式に戸惑った受験生もいたのではないかと思いますが、オーソドックスな高校入試の出題形式と言えるでしょう。

傾向

扱われる文章については、論説文では文芸に関する内容のものが比較的多いように感じます。小説については、近年、井上靖や林芙美子、新美南吉、夏目漱石などの作品が出題されており、近年の人気作家や中学校・高校の入試問題でよく名前を見るような作家の作品よりも、国語便覧に名前が載っているような作家の作品が出題される傾向がありそうです。

文章量としてはそれほど多くはありませんが、記述問題が多い点も特徴と言えるでしょう。漢字や語句の意味、慣用的な表現など、「知っていなけれな解けない」というような問題も出題されます。

対策

文章の内容を把握する読解力だけではなく、短い時間の中である程度分量のある内容を的確にまとめる力をつけることが一つのポイントです。日頃から読書を習慣づけ、語彙を増やしたり読解力を増やすことも重要ですが、慶應志木高校の出題傾向から考えると、評論文・小説どちらにおいても、高校入試でよく出題されている人の作品を読むよりは、国語便覧に名前が載っているような人の本を読むことをお勧めします。

数学の傾向と対策

2023年は、平面図形(角度・三角形)、数の性質・計算、関数、平面図形、2次方程式応用、空間図形(球と円柱)、台形に関する証明問題で構成されていました。例年、ほぼすべての分野からまんべんなく出題されています。

傾向

計算問題(式の値、方程式、平方根)や円に関する問題、二次関数、空間図形については、毎年出題されています。また証明、確率の問題は奇数の年に出題されている傾向が見られます。徹底的に演習しておきましょう。

図形に関しては、定期的に証明問題や作図の問題も出題されています。

対策

複数の分野にまたがるような融合問題や、規則性に関する問題など、様々な出題パターンに対応できるようにしておきましょう。問題数も多いので、時間内に余裕を持って解ききり、見直しまできちんと終えるスピード感も重要です。そのためには、ある程度問題数をこなしておく必要があるでしょう。

よく使う定理や公式は、考え方も含めて確認しておくことで本質的な理解ができ、応用力に繋がります。学校の教科書レベルの問題から応用的な問題まで、難易度にも多少ばらつきがみられますが、全体的には一度はどこかで出会ったことがあるような問題が出題されると考えてよいでしょう。併願校への対策も含め、難関校受験に向けた問題集にしっかり取り組んでいれば十分に得点できます。基本問題では点数を落とさないようにしつつ、発展的な内容を問う問題でどれだけ得点できるかが合格に繋がります。

英語の傾向と対策

2023年は長文を読んで答える大問が3題、文法問題、語彙問題という形式でした。選択問題と記述式の問題、両方が出題されています。また、英作文の問題が初めて出題されたことでも話題になりました。

傾向

全体的には、難関校の英語入試としては一般的な分量・難易度・出題形式であり、単語やイディオムについても、基本的・標準的なレヴェルで対応できるでしょう。そのため、いかにミスをしないか、ということが合否を左右すると言えます。問題を読むうえでも解くうえでも、正確さを重視して演習を積んでいきましょう。

対策

長文の精読を行うことによって、集中力を養うとともに、和訳の力も育てていくことができます。また、途中で分からない単語が出てきたらきちんと辞書を使って派生語まで調べるようにすると、語彙力も身につきます。そういった練習を繰り返すことによって、入試で頻出のトピックについて知ることができるので、本番でもしわからない単語やイディオムがあっても、内容を類推できるようになるでしょう。

英作文については、知っている単語、文法で正確に文章を書けるようにしておくことが重要です。かといって、平易すぎる文章では十分な得点は見込めないでしょう。英語の先生に添削してもらうなどしながら、内容のレベルを高めていくようにしましょう。

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慶應義塾志木高等学校の一般入試は、学校自体の定員も少ないことから倍率が高く、例年5倍を超えています。中学校のなかではトップクラスの成績であったとしても、首都圏から広く受験生の集まる慶應志木高校への合格は、簡単ではありません。

そのため合格に向けてはまず、基本的な問題でいかにミスをしないかが重要であり、中学校の学習内容をしっかり理解しておく必要があります。そのうえで過去問題や問題集などで実際の入試レベルに慣れ、本番を見据えて練習を積んでいく必要があるでしょう。

しかし、お子様やご家庭での勉強だけではサポートや対策に限りがあるため、個別指導塾を活用した計画的な学習がおすすめです。

弊社さくらOne個別指導塾では、社会人プロ講師が完全マンツーマンで慶應志木高校への合格をサポートします。また入学後も慶應義塾大学への進学に向け、「慶應義塾内部進学コース」を準備しているので、入学後も続けて通い続けていただくことができます。

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参考サイト

慶應義塾志木高等学校ホームページ

慶應義塾志木高等学校2024学校案内

慶應義塾志木高等学校 – Wikipedia