大学入学共通テスト記述式問題の問題例

大学入学共通テストは2020年度からセンター試験に代わって導入される大学受験の際の共通テストです。現在、大学入学共通テストについてはその中身などについて議論・検討がなされていますが、センター試験と比較していくつかの大きな変更点はすでに公表されています。

その中で最も大きな変更点とも言うべきであるのが、国語と数学に導入される記述式の問題です。従来のセンター試験はすべての科目の出題形式がマークシート方式でした。そのため、大学入学共通テストにおける記述式の問題は、出題形式からしてセンター試験とは全く違ったものとなります。

今回は独立行政法人大学入試センターにより公開されている大学入学共通テストの記述式問題のモデル問題について紹介します。実際に後悔されているモデル問題を見ることで、大学入学共通テストの変更点を具体的にイメージすることができるようになるでしょう。

八王子の個別指導塾が教える2017年5月16日公表 記述式問題のモデル問題

大学入試センターは2017年5月16日に大学入学共通テストにおける記述式問題のモデル問題を公表しています。従来のセンター試験がすべてマークシート方式で行われていたことから考えると、記述式問題は問題を読み取る力だけでなく、それを実際に自分の言葉で表現する力が求められています。

以下では実際に公表された記述式問題のモデル問題について、国語と数学から1つずつを紹介します。これまでのセンター試験の問題とは回答方法が変わり、幅のある回答ができるようになっていることがわかるでしょう。

八王子の個別指導塾が教える国語総合のモデル問題

(出典:file:///C:/Users/fumiy/Desktop/abm.php_f=abm00009385.pdf&n=記述式問題のモデル問題例.pdf

上記モデル問題例1では、3つの情報を読み、4つの問に答える内容となっています。問1は40字以内、問2は35字以内、問3は20字以内、そして問4は複数の条件に従ったうえで80字以上120字以内での回答が求められています。

このように、それぞれの問の回答字数は決して多くはありません。それどころか、記述式問題という言葉でイメージしていたものと比較すると、字数の少なさに驚いた人もいるのではないでしょうか。しかし、こういった問題において、字数が多くないという点は回答を難しくする恐れがあります。

それは、限られた字数で正確な情報と必要な量の情報を表現することは決して簡単ではないためです。ここに記述式問題の難しさがあると考えられます。また記述式問題においては、従来のセンター試験のマークシート方式のように、一見して間違いと認められる選択肢を消去していく形で正解を見つけるといった回答手法を使うことができません。自分の力で設問から適切な語句を選択し、正しい回答文を作らなければならないのです。

上記正答例を見ると、端的にまとまった文章が書かれていますが、実際の試験中に決して短くない設問文から無駄なく情報を抜き出し、体裁が整えられた回答文を作ることは想像以上に難しいはずです。頭の中では書きたい回答が漠然と形になっていても、それを適切な語句で表現できなくては高い評価には結びつかないことが想像されます。

さらに上記モデル問題例1の特徴としては、回答に必要な情報が複数のタイプのテクストに分かれているといった点も挙げることができます。資料Aとして地図があり、資料Bとして行政機関によるガイドラインがあり、最後に父と姉の会話があります。複数のタイプのテクストを読みこなし、記述式で回答をする能力は単語の暗記のように一朝一夕で身につくものではないため、長期間にわたるトレーニングが必要となるでしょう。

八王子の個別指導塾が教える数学のモデル問題

(出典:file:///C:/Users/fumiy/Desktop/abm.php_f=abm00009385.pdf&n=記述式問題のモデル問題例.pdf

続いて、上記が数学のモデル問題です。このように数学の記述問題は国語総合と違い、記述式問題だけで大問が作られておらず、マークシート方式と混在する形で記述式の回答が求められています。また記述式といえども、文章で回答を表現することは求められておらず、数学の式や条件別のパターン分けの回答を記載する形となっています。

しかし、マークシート方式の場合と異なり、数式をゼロから自分で組み立てる必要があるため、生半可な知識では正解することが難しくなっているところに特徴があります。また記述式の回答が求められる大問については、問題文が長くなる傾向があります。そのため、問題文を隅から隅までしっかりと読み込んだ上で、ケアレスミスなく回答を記述する必要があります。

今後、大学入学共通テストについての検討が進む中で問題文も今よりも遥かに練り込まれていくことが予想されますが、数学であっても、従来のセンター試験と比較して問題文が長くなる恐れは十分にあります。数学の記述式問題で高い評価を得るためには、長文を素早く正確に読み、短い時間で数式を適切に記述するトレーニングが必要となるでしょう。

記述式問題によって評価される能力を考える

上述した国語と数学の記述式問題はいずれも、従来のセンター試験におけるマークシート方式の問題とは一線を画するものでしょう。モデル問題のように、正答例が事前にある場合はそれほど異質なものに見えないかもしれませんが、これが大学受験の際に出題された場合、多くの受験生が戸惑いと不安を覚えるでしょう。

このように記述式問題の導入は、大学入学共通テストの大きな特徴です。では、記述式問題で評価される能力はどのようなものなのでしょうか。その点を知ることは、日頃の学習をどのように進めていくべきかの指針となるはずです。

八王子の個別指導塾が教える国語の記述式問題で評価される点

文部科学省「大学入学共通テスト」実施方針によると、国語の記述式の問題においては以下の要素が評価されています。

・多様な文章や図表などをもとに、複数の情報を統合し構造化して考えをまとめたり、その過程や結果について、相手が正確に理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力を評価する

・設問において一定の条件を設定し、それを踏まえ結論や結論に至るプロセス等を解答させる条件付記述式とし、特に「論理(情報と情報の関係性)の吟味・構築」や「情報を編集して文章にまとめること」に関わる能力の評価を重視する

八王子の個別指導塾が教える数学の記述式問題で評価される点

文部科学省「大学入学共通テスト」実施方針によると、数学の記述式の問題においては以下の要素が評価されています。

・図表やグラフ・文章などを用いて考えたことを数式などで表現したり、問題解決の方略などを正しく書き表したりする力などを評価する。特に、「数学を活用した問題解決に向けて構想・見通しを立てること」に関わる能力の評価を重視する

以上のように、国語においても数学においても以下の2点が大きく評価されるようです。

・複数の異なるタイプの情報を統合すること

・解答に至るプロセスの正確性

八王子の個別指導塾が教える大学入学共通テスト記述式問題の問題例のまとめ

以上のように記述式の問題は高校における学びを深化させる目的で出題されるようです。また、高校での学習を実生活における問題解決に役立てるといった側面も、記述式問題導入の背景に存在するのではないでしょうか。機械的な暗記と消去法で正解にたどり着くことができる点を改め、「主体的・対話的で深い学び」を実現するためにも、記述式問題の導入はこれからどんどん拡大していくでしょう。

マークシート方式から一部記述方式への変化は高校生にとって大きな不安に繋がる側面がありますが、一方で、高校生が学習の実質性を見出すことに繋がることも期待されます。そにため、出題形式の変化にネガティブにならず、記述式問題を通して、主体的に楽しく学ぶことの重要性を積極的に見つけていくことが大切でしょう。

【参考文献】

http://www.dnc.ac.jp/corporation/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/index.html

http://www.keinet.ne.jp/topics/17/20170517.pdf

http://www.keinet.ne.jp/dnj/20/20kaisetsu_02.html

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/index.htm

http://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00009385.pdf&n=%E8%A8%98%E8%BF%B0%E5%BC%8F%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AE%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C%E4%BE%8B.pdf