数学テキスト「Prime」の概要と対策

Primeとは？

「Prime」とは、東京書籍が出版している、教科書準拠の数学問題集です。Primeは教科書「Advanced」シリーズに対応しており、全国の中高一貫校から地方の公立高校まで、演習用の問題集として広く配布されています。

Primeに収録されている問題のレベルは「A問題」「B問題」「応用例題」「練習問題」「入試にチャレンジ」の5段階に分かれています。

「A問題」は教科書の問題に1対1で対応しており，基礎レベルの問題の確実な習得を目的としています。「B問題」や「応用例題」では、公式や定理に数字を当てはめるだけでは問題が解けず、数学の本質的な理解が求められるようになってきます。さらに「練習問題」では、実践的な演習を積むことができ、最後の「入試にチャレンジ」では、地方国立大や日東駒専レベルの過去問に挑戦することができます。

「Prime」を他の教科書傍用問題集と比較すると、「クリアー数学」よりは難易度が高く、「4step」よりは低い難易度となっています。同程度の難易度の問題集としては「サクシード」や「アドバンス」が挙げられます。基本的には、「Prime」と同じレベルの問題集に取り組むことで、共通テスト頻出の問題や、中堅レベルの大学入試の基本問題は解けるようになると言われています。

また、教科書「Advanced」シリーズには、「Prime」の他に「Hi-Prime」という傍用問題集があります。こちらは、Primeよりワンランク上の問題集となっており、教科書レベル〜難関大入試レベルまでの問題を扱っています。

ところで、Primeを使用している方の中には、以下のような悩みを抱えている方はいませんか？

① 市販の問題集と比べると、解説が分かりにくい

Primeの最大の短所は、「詳しい解説が記載されていない点」です。Primeの解説を見ても「どうしてここで式変形しているの？」「なんでこの公式が突然出てくるの？」といった疑問を持たれる方が非常に多く、スムーズに学習が進みません。この点、数学が苦手な人や独学で学習を進めたい人にとっては、Primeは不向きな問題集といえます。

基礎的な「A問題」などは、解説が少なくても、教科書を見れば簡単に理解できます。しかし、レベルの高い練習問題や「入試にチャレンジ」の問題は、詳しい解説がなければ初学者は理解が進まず、数学力も当然向上しません。

② 難関大レベルの問題がないため、数学力が身についているのか確認できない

Primeは、基礎~標準の問題が多く、受験の基礎固めには活用できます。しかし、Primeに収録されている問題は、やはり教科書に準拠したものが多く、大学入試で高得点を取る力を身に付けることは難しいです。

実際、Primeで演習を積んでいる生徒が、駿台模試などのハイレベルな試験を受験した際には、数学の得点が伸びず苦労することもあります。ですので、高い数学力を身につけて、旧帝大やMARCH以上の難関大学を突破したい受験生は、より実践的な問題集を使用する必要があります。

では、このようにPrimeの使い方に関して悩んでいる受験生は、一体どのような対策を取れば良いでしょうか。以降は、簡単な対策を紹介していきます。

Primeの対策

① チャートやFocus Goldなどの参考書を確認する癖をつけよう

Primeを攻略するための一番手軽な方法は、分かりやすい参考書を併用することです。先述したように、 Primeの問題は解説が少なく、特に初学者は苦労が強いられます。そこで、解説が理解できず進めなくなってしまう場合は、チャート式やFocus Goldなどの網羅系参考書をすぐに参照するようにしましょう。実際、これらの参考書には、Primeに収録されている問題とほとんど同じ類題が掲載されています。

何より、チャート式・Focus Gold といった参考書では、Primeよりも詳しい解答・解説が記載されています。Primeで解けなかった問題を、チャート式やFocusで確認すれば、正しい解法を理解することができます。

さらに解法を理解した後は、再度問題を解き直し、「実際に自力で解答まで辿り着けるかどうか」を確かめてみましょう。チャート式などで解説を読んだだけでは、解法を理解した”つもり”にしかなっていないことが往々にしてあります。自力で答えに至るまでの途中式や式変形まで正確に再現できて初めて、その解法を理解したと言えるのです。

また、Primeの問題を解けた時でも、チャート式などで類題を確認すると、違う解法が記載されていることもあります。「自分の解答」と「解説の解答」の2パターンの解き方を習得することは、初見で問題を解くときにも大きな財産になります

Primeの問題を解く時は、常にチャート式などの解法辞典を横に置き、何か疑問点があればすぐに開けるようにしておきましょう。

② 「解法パターンを身につける」という目的意識を持って、Primeに取り組もう

数学の問題には、「典型的な解法パターン」で解ける問題と、「典型的な解法パターンの『組み合わせ』」で解ける問題があります。前者は共通テストや一般入試の基本・標準問題として出題され、後者は難関大学の入試などで「差がつく問題」として出題されます。この「差がつく問題」を解くには、ハイレベルな問題集で、高度な思考力を養う必要があります。

一方、Primeに収録されている問題は、ほとんどが基礎・標準レベルです。つまり「典型的な解法パターン」で解ける問題が多くを占めています。ですので、Primeに取り組むときは、「思考力を身につけること」ではなく、「解法・定石の使い方をマスターすること」さらには「解法・定石のストック数を増やすこと」に比重を置いて勉強することが大切です。問題を深く考えるよりも、「この問題には、この解法を使えばいい」という決まったパターンを頭に叩き込むことを心がけましょう。

また、解法パターンをインプットする際には、とにかく回数が重要になります。理解が不十分であれば、同じ問題にも2、3回ほど挑戦し、「理解の伴った解法」を体に染み込ませます。

Primeの問題が完璧に解けるようになったら、より実践的な問題集に取り組んでみましょう。繰り返しになりますが、難関大の入試問題が解けるようになるには、身につけた解法パターンを組み合わせる必要があります。Primeで覚えた解法を武器に、難問にも立ち向かってみて下さい。