八王子の塾が教える1次方程式の比例式と文章問題の解き方

1次方程式の解き方を理解しても、それを実際にどのように応用していくのかがわからなければ意味がありません。
1次方程式はどんなときに役立てられるのでしょうか?

江戸時代、海外との外交を絶っていた日本の中で和算というものが生まれました。
ねずみ算や鶴亀算、旅人算などは耳にしたことがありますよね。

これらの算法は明治時代になって西洋数学が導入されるまで利用されましたが、現在でもその考え方は特に小学校の算数で使われることがあります。

過不足算

鉛筆を7本買うには持っているお金では120円足りないが、6本買うには40円余る。この鉛筆1本の値段はいくらか。

[解法]
持っているお金が120円多かったと仮定すると、鉛筆を7本買えることになり、6本買うと
40+120 = 160(円)余ることになる。したがって鉛筆1本の値段は160円となる。

和算は楽しくとても重宝しますが算法の種類が多くいろいろな問題パターンを習得するのがたいへんです。
そこで1次方程式の登場です。
過不足算や旅人算などを利用するような問題に方程式を利用すると、とても簡単に解を導けます。

この単元では、1次方程式を利用して少し複雑な文章題を解くことができるように勉強していきます。

比例式

いくつかの数の関係を表したものを比といいます。
2数a、bの比は「a:b」で表され「a対b」と読みます。
また比a:b を分数で表したもの方程式の解き方7を比の値といいます。

例題
次の比について比の値を求めよ。
(1) 3:4     (2) 8:48     (3) x:5     (4) a :( a +7 )考え方
分数で表す。:の左側の値を分数の分子に、右側の値を分数の分母に書く。答
1次方程式の応用2

2つの比が等しいときにそれぞれの比を等号=でつないだものを比例式といいます。
比例式は両辺を比の値に直すと解くことができます。
a:b = c:d ← 比例式
1次方程式の応用3← 比の値に直した等式
両辺に bd をかけると
ad = bc

以上より比例式には次の性質があることがわかります。
a:b = c:d ならば a d = b c
これは比例式における外側の項 a 、d の積と内側の項 b 、c の積で等式を作ったものになっています。

1次方程式の応用4

例題
次の比例式を解け。
(1) 2:5 = 8:x
(2) ( a-1 ):6 = 3:2
(3) 4:7 = x :(3 x +5)
(4) 3:5 = ( y -4):(2 y -11)考え方
(外積)=(内積)で等式をつくる。答
(1) 2:5 = 8:x
2 x = 5×8
2 x = 40
x = 20(2) ( a-1 ):6 = 3:2
2( a-1 ) = 6×3
2 a-2 = 18
2 a = 18+2
2 a = 20
a = 10(3) 4:7 = x :(3 x +5)
4(3 x +5) = 7 x
12 x +20 = 7 x
12 x -7 x= -20
5 x = -20
x = -4 (4) 3:5 = ( y-4):(2 y-11)
3(2 y-11) = 5( y-4)
6 y-33 = 5 y -20
6 y - 5 y = -20+33
y = 13

文章問題

1.1次方程式のつくりかた

1次方程式をつくるときにはまず何を文字で表すかを考えます。
それが決まったら次は等しくなる2つの数量を見つけてそれらを等号=でつなぎます。
このとき2つの数量のどちらかまたは両方が文字式になります。あとは出来上がった方程式を解くだけです。

例題
1次方程式を利用して次の数量を求めよ。
(1) ケーキを2個と120円のジュースを5本買うと1340円になった。ケーキ1個の値段はいくらか。
(2) ある動物園の入場料は中学生が190円、小学生が120円である。大人2人と小学生1人のときの入場料と、大人1人と中学生2人のときの入場料が同じならば、大人の入場料はいくらか。考え方
求めたい数量を見つけて x とおき、方程式をつくる。
(1) 求めたい数量:ケーキ1個の値段
(ケーキ2個の代金)+(ジュース5本の代金)=(合計代金)
(2) 求めたい数量:大人の入場料
(大人2人と小学生1人のときの入場料)=(大人1人と中学生2人のときの入場料)答
(1) ケーキ1個の値段を x 円とおく。
2 x +120×5 = 1340  ←(ケーキ2個の代金)+(ジュース5本の代金)=(合計代金)
2 x = 1340-600
= 740
x = 370
よってケーキ1個の値段は370円。
答え 370円(2) 大人の入場料を x 円とおく。
2 x +1×120 = x +2×190
2 x - x = 380-120
x = 260
よって大人の入場料は260円。
答え 260円

2.1次方程式を利用した文章題(基本)

1次方程式を利用して文章題を解くときの手順をまとめてみます。

1次方程式の文章題を解くときの手順

(1) 求めたい数量を x とおく
まずは問題で求められている値を x とおくことを考える。

(2) 等号で結べるふたつの値を見つけて方程式をつくる
両辺の助数詞(個、人、回…)が同じであるかを確認。
○個=△人のようになっていたらもう一度よく考えてみる。

(3) 方程式を解く
x の値が出たら、もう一度問題文を読んで問いかけにあった答え方をする。

それではこれらの手順にしたがっていろいろなパターンの文章題を解いてみましょう。

例題
鉛筆を7本買うには持っているお金では120円足りないが、6本買うには40円余る。この鉛筆1本の値段はいくらか。考え方
鉛筆1本の値段を x 円とおくと、7本買う場合と6本買う場合のそれぞれで持っているお金を表すことができる。答
鉛筆1本の値段を x 円とおく。
7本買うと120円足りないことから、持っているお金は ( 7 x -120 )円と表せて、
6本買うと40円余ることから、持っているお金は (6 x +40 )円と表せる。
1次方程式の応用5したがって
7 x -120 = 6 x +40
7 x -6 x = 40+120
x = 160
よって鉛筆1本の値段は160円となる。
答え 160円
例題
1個60円のりんごと1個40円のみかんをあわせて11個買うと、代金が460円になった。買ったりんごとみかんの数はそれぞれいくらか。考え方
値のわからない数量がふたつあるときには、どちらかを x とおいて、もうひとつの数量は x を使った文字式で表すことを考える。答
買ったりんごの数を x 個とおくと、みかんの数は(11- x )個とおける。
(りんごの代金)+(みかんの代金)=(合計代金)より
60 x +40(11- x ) = 460
60 x +440-40 x = 460
60 x -40 x = 460-440
20 x = 20
x = 1
よってりんごの個数は1個となり、みかんの個数は 11- x = 10(個)となる。
答え りんごの数 1個 みかんの数 10個
例題
昨年の元旦には母の年齢は子どもの3倍だったが、10年後の元旦には母の年齢は子どもの2倍になるという。母と子どものそれぞれの現在の年齢を求めよ。考え方
子どもの現在の年齢を x 歳とおくと、昨年の母子の年齢は x を使って表せる。答
子どもの現在の年齢を x 歳とおくと、昨年の子どもは(x -1)歳、母はその3倍で(3(x -1))歳。
同様に10年後の子どもは(x +10)歳、母はその2倍で(2(x +10))歳。(10年後の母の年齢)-(昨年の母の年齢)= 11 だから
2(x +10)-3(x -1) = 11
2 x +20 -3 x +3 = 11
2 x -3 x = 11-20-3
- x = -12
x = 12よって現在の子どもの年齢は12歳となる。
昨年の母の年齢は3(x -1) = 33(歳)なので現在の母の年齢は33+1 = 34(歳)。
答え 母の年齢 34歳 子どもの年齢 12歳
例題
ある2けたの整数の十の位の数字と一の位の数字を入れかえると、もとの整数の3倍より5大きい数になる。
もとの整数の一の位の数字が9であることはわかっている。もとの整数を求めよ。考え方
もとの整数の一の位の数字はわかっているので十の位の数字を x とおくと、
もとの整数は 10× x +1×9 = 10 x +9 と表せる。1次方程式の応用6
もとの整数の十の位の数字を x とおく。
もとの数は10 x +9 、入れかえたあとの数は90+ x と表せる。入れかえたあとの数はもとの数の3倍より5大きいから
90+ x = 3(10 x +9)+5
90+ x = 30 x +27+5
x -30 x = 32-90
-29 x = -58
x = 2
よってもとの整数の十の位の数字は2、一の位の数字は9となり、もとの整数は29。
答え 29

3.速さと道のりの問題

速さと道のりの問題では、時間や道のりの単位をそろえることが必要です。
方程式の問題練習にはいる前にいくつか単位変換の練習をしてみましょう。

例題
次の値を求めよ。
(1) 時速162kmは分速いくらか。
(2) 秒速3mは時速何kmか。
(3) 3時間50分を時間に直すといくらか。考え方
1時間=60分
1分=60秒
1km=1000m答
(1) 時速162kmとは1時間に162km進むこと。つまり60分間に162km進むこと。
速さとは単位時間あたりに進む道のりだから、
1次方程式の応用7(2) 1秒間に3m進むということは、1時間に 3×60×60 = 10800(m)進む。
10800 m = 10.8 (km)(3) 3時間50分 = 230分
1次方程式の応用8

速さとは、単位時間(1時間、1分間、1秒間)あたりに進む道のり(距離)のことです。
速さと道のりについての問題を解くには、まず次の公式を覚えましょう。
この公式を利用して方程式を作成して求めたい値を導いていきます。

1次方程式の応用9

例題
山の麓のP地点から山頂のQ地点までハイキングに行った。行きは時速3kmで登り、頂上で20分間休憩したあと帰りは時速5kmで下った。往復で4時間40分かかった。P地点からQ地点までの道のりを求めよ。考え方
(往復の時間)=(行きにかかった時間)+(休憩した時間)+(帰りにかかった時間)
各時間の単位はそろえる必要がある。答
P地点からQ地点までの道のりを x kmとおく。
1次方程式の応用10
速さと道のりの公式より
1次方程式の応用11 ←(行きにかかった時間)+(休憩した時間)+(帰りにかかった時間)=(往復の時間)両辺に60をかける
20 x + 20 + 12 x = 280
20 x + 12 x = 280- 20
32 x = 2601次方程式の応用12

速さと道のりの問題によくある問題パターンとして「出会う問題」と「追いつく問題」があります。
二人が出会う問題は、それぞれの進んだ道のりの和が全体の道のりになることを利用して方程式をたてますが、遅れて出発した人が先に出発した人に追いつく問題は、二人が進んだ道のりが等しくなることを利用して方程式をたてます。

1次方程式の応用13

例題
Aさんは家から5km離れた図書館まで歩いて行こうと午前10時ちょうどに家を出た。Aさんの歩く速度は時速4kmである。(1) 図書館に向かう途中Aさんは図書館から帰宅する途中の兄に出会った。兄も午前10時に図書館を出たという。兄の歩く速度は時速6kmである。Aさんと兄が出会う場所は家から何km離れているところか。またその時刻を求めよ。(2) Aさんの忘れものに気付いた父が忘れものを届けようと、Aさんが家を出た10分後にAさんを追って自転車で家を出た。父の自転車の速度が時速14kmのとき父がAさんに追いついた時刻を求めよ。考え方
(1) 出会う問題なので、Aさんと兄が歩いた道のりの和が全体の道のりになればいい。
(2) 追いつく問題なので、Aさんが歩いた道のりと父が走った道のりが等しくなればいい。答
(1) 家からふたりが出会う場所までの道のりを x kmとする。
1次方程式の応用14
出会うまでにAさんが歩いた道のりは x km、
兄が歩いた道のりは(5- x )kmとなる。
(Aさんが歩いた時間)=(兄が歩いた時間)となればいい。1次方程式の応用15

よって家から出会った地点までの道のりは2km。
時速4kmのAさんが2km歩くのにかかる時間は
1次方程式の応用16
答え 2km、午前10時30分

(2) 父が家を出てから x 分後にAさんに追いついたものとする。
1次方程式の応用17

(父が自転車で走った道のり)=(Aさんが歩いた道のり)となればいい。
時速14kmの父は x 分間走り、時速4kmのAさんは(10+ x )分間歩いたので、

1次方程式の応用18

よって父は家を出て4分後にAさんに追いつく。
これはAさんが家を出てから14分後のことである。
答え 午前10時14分

4.割合の問題

割合の問題の練習にはいる前に簡単に割合の復習をしておきます。
割合とは、基準(もとにする量)に対するある量(比べられる量)の比を表したものです。
割合を求めるための公式は必ず覚えておきましょう。

1次方程式の応用19

割合には次のようにいろいろな表し方があります。

割合:
もとにする量を1としたときにその何倍にあたるかを表した数。
整数や小数、分数を使って○倍と表すことが可能。

百分率:
もとにする量を100としたときに比べられる量がどれだけにあたるかを表した数。単位は%。
割合0.1が10%、0.01が1%となる。

歩合:
割合0.1のことを1割、0.01のことを1分、0.001のことを1厘という。

1次方程式の応用20

例題
ある中学校の昨年度の生徒数は230人だった。今年度の生徒数は、昨年度と比べて男子が10%増えて女子が5%減り、全体で5人増えた。昨年度の男子、女子それぞれの生徒数を求めよ。考え方
昨年度の男子の人数を x 人とすると昨年度の女子の人数も x を使って表せる。
百分率の場合は1次方程式の応用21だから、
これを利用して (男子生徒の増減)+(女子生徒の増減)=(全体の増減) の式をたてる。答
昨年度の男子の人数を x 人とすると、昨年度の女子の人数は(230- x )人。今年度の男子は昨年度より10%増えたので1次方程式の応用22増え、
今年度の女子は昨年度より5%減ったので1次方程式の応用23減った。(男子生徒の増減)+(女子生徒の増減)=(全体の増減)より
1次方程式の応用24両辺に20をかけると
2 x -(230- x ) = 100
2 x -230+ x = 100
2 x + x = 100+230
3 x = 330
x = 110
よって昨年度の男子は 110人、昨年度の女子は 230-110=120(人)となる。
答え 昨年度の男子 110人 昨年度の女子 120 人

例題
ある商品は仕入れ値の5割の利益を見込んで定価としたが、120個が売れ残ってしまった。
タイムセールとして30%引きで売りに出すとすべて売り切れて、37200円の利益が出た。この商品1個の仕入れ値を求めよ。考え方
(仕入れ値)=(原価)のことである。
(定価)=(仕入れ値)×(1+(利益率))
(売値)=(定価)×(1-(値引き率))
5割、30%と、割合を表す数値が2つ出てくるが、それぞれの「もとにする量」は異なる。「もとにする量」が何なのかに注意して解く。答
仕入れ値を x 円とする。
定価は5割増しだから仕入れ値の15割になり、1次方程式の応用25円。
定価の30%引きの価格は定価の70%となり、1次方程式の応用26円。
これが売値となる。
商品1個あたりの利益は(売値)から(仕入れ値)を引けばいいから
1次方程式の応用27円となる。
1個あたりの利益の120個分が37200円になる。1次方程式の応用28
126 x -120 x = 37200
6 x = 37200
x = 6200
答え 6200円
例題
次の問いに答えよ。
(1) 8%の食塩水500gに水を加えたら5%の食塩水ができた。加えた水は何gか。
(2) 8%の食塩水400gに20%の食塩水を加えたら10%の食塩水になった。加えた食塩水は何gか。考え方
食塩水の濃度の問題も割合の公式を利用して解くことができる。食塩水の濃度とは、食塩水に対する食塩の割合のことである。1次方程式の応用29
食塩水の濃度の問題では、食塩の量に着目して方程式をたてるとうまくいくことが多い。答
(1) 加えた水の量を x gとすると、水を加えたあとの食塩水の質量は(500+x )g となる。
水を加える前の8%の食塩水500gに含まれる食塩の質量は1次方程式の応用30
水を加えたあとの5%の食塩水(500+x )gに含まれる食塩の質量は1次方程式の応用31
1次方程式の応用32
水を加える前とあとでは食塩の質量は同じなので、
1次方程式の応用33
両辺に100をかけると
(500+x )×5 = 500×8
2500+ 5 x = 4000
5 x = 4000-2500
= 1500
x = 300
答え 300g(2) 20%の食塩水を x g加えたとすると、10%の食塩水は(400+ x )g できる。
混ぜる前の8%の食塩水400gに含まれる食塩の質量は1次方程式の応用34
同じく20%の食塩水 x g に含まれる食塩の質量は1次方程式の応用35
新たにできた10%の食塩水(400+ x )gに含まれる食塩の質量は1次方程式の応用36
1次方程式の応用37
混ぜ合わせる前とあとでは食塩の質量は同じなので、
1次方程式の応用38
3200+20 x = 4000+10 x
20 x -10 x = 4000-3200
10 x = 800
x = 80
答え 80 g

八王子の個別指導塾が教える1次方程式の比例式と文章問題の解き方 まとめ

この単元では次のことを勉強しました。

◎比例式とその性質

・2数a、bの比は「a:b」で表され、比a:b を分数で表したもの方程式の解き方7を比の値という。
・比を等式でつないだものを比例式という。  例)a:b = c:d
・比の性質
a:b = c:d ならば a d = b c   → (外積)=(内積)で覚える

◎1次方程式を利用した文章題

・1次方程式の文章題を解くときの手順
(1) 求めたい数量を x とおく。
(2) 等号で結べるふたつの値を見つけて方程式をつくる。
(3) 方程式を解く。
・わからない数量がふたつあるときにはどちらかを x とおいて、もうひとつの数量は x を使った文字式で表す。

◎速さと道のりの問題

・速さとは、単位時間(1時間、1分間、1秒間)あたりに進む道のり(距離)のこと。
(道のり)=(速さ)×(時間)を使って1次方程式をつくる。
・出会う問題は、それぞれの進んだ道のりの和が全体の道のりになることを利用する。
・追いつく問題は、Aが進んだ道のりとBが進んだ道のりが等しくなることを利用する。
・時間の単位、距離の単位は統一する。

◎割合の問題

・割合とは、基準(もとにする量)に対するある量(比べられる量)の比を表したもの。
・割合と百分率、歩合
1次方程式の応用20
1次方程式の応用39を使って1次方程式をつくる。
・割合が出てきたらもとにする量は何なのかを問題から読み取る。○引き、○増し、などの言葉にも注意する。
・食塩水の問題の場合は1次方程式の応用40を利用し、食塩の量に着目して式をつくる。