南多摩中等教育学校の特色と入学するための受験対策
はじめに
中学受験は、お子様の努力に加え、親御様のサポートが必要な受験といわれます。お子様にはどんな学校が合っているのか、頭を悩ませている方も多いかと存じます。
都立の中高一貫校は、多様なカリキュラム、学費が安いことや、充実した学習環境、特色ある校風などが魅力です。一度選択肢として検討してはいかがでしょうか。今回ご紹介するのは、都立中高一貫校の一つ、南多摩中等教育学校です。
学校の特色
「みなみたま」や「なんたま」という愛称で呼ばれることも多いこの学校。
この記事では、東京都八王子市にある南多摩中等教育学校(男女共学)を志望される方、親御様へ向けての学校情報と、合格を勝ち取るための受験対策についてお伝えします。
教育理念
人間力の南多摩 ―心・知・体の調和―
教育目標
- 心を拓く
「心」とは、特に人間に顕著な精神作用を総合的にとらえた称。
「拓く」とは、努力していい状態に変えること。 - 知を極める
「知」とは、情勢の変化に応じて的確に判断・処理できる、頭の働き。知恵。
「極める」とは、それ以上は望めないところまで達すること。 - 体を育む
「体」とは、意識・思考・活動をする主体としての肉体。
「育む」とは、親鳥がひなを羽に包んで育てること。
カリキュラム
南多摩中等教育学校は、一つの学校で6年間の中高一貫教育を行います。中学校段階となる前半の3年間を前期課程、高等学校段階となる後半の3年間を後期課程といいます。高校受験のない「ゆとり」を生かし、6年間を見通した教育活動を行います。
都立南多摩中等教育学校のカリキュラムで特徴的なのは、「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)」と「フィールドワーク活動」です。
「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)」
南多摩中等教育学校は、文部科学省による「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」の10校のうちの1校に選ばれています。
高等学校等と国内外の大学、企業、国際機関等が協働してより高度な学びを提供する仕組みを作り、世界で活躍できるイノベーティブなグローバル人材を育成することを目的とするこの事業。
文理融合及び探究学習を深化させるカリキュラム開発、高校生国際会議への参加などに取り組んでいます。
「フィールドワーク活動とキャリアデザイン」
南多摩中等教育学校のFW(フィールドワーク)活動は、学年ごとにテーマをもち ステップアップしながら探究活動をしていくものです。
活動と連動して、6年間を通して着実なキャリアデザインを構築します。前期課程では、 1年生での地域学習からスタート。2年生で〈モノ〉を素材とした調査研究、 3年生で科学的な検証活動を行います。異なる分野に取り組むことで自己の興味や特性を深く知ることができる取り組みです。
4年生からの後期課程では、「ライフワークプロジェクト」へと発展させていきます。前期課程の経験を生かし、個人あるいはグループで課題を設定し、担当の先生といっしょに時間をかけて一つの論文を完成させます。
「批判的 思考( Critical Thinking)」や「創造的思考 Creative Thinking)」を身に付けた生徒たちは、難関大学にも多数進学しています。
また、中学3年生の9月には「接続テスト」が実施されます。
これは前期課程(中学)から後期課程(高校)への進級テストのようなものです。このテストでは国語・数学・英語の3科目の試験が行われ、不合格の生徒は補習を受けた上、再度テストを受けなければなりません。
中だるみしやすいと言われる中高一貫校ですが、この接続テストは3年間の学習の良い復習、きちんと勉強する機会となっているようです。
研究・行事・体験
特徴的なのは、「フィールドワーク」のための行事。そのほか、体育祭、文化祭、合唱祭からなる「南魂祭」にも力を入れています。
南魂祭(体育祭):全学年が4つの団に分かれて競い合います。
南魂祭(文化祭):入場門の後ろには、各クラスが作った垂れ幕が並びます。
南魂祭(合唱祭):各クラスで練習を積み重ねます。
地域調査(1年)
東京探索(2年)
科学調査の日(3年)
海外研修旅行(オーストラリア)(4年)
宿泊研修旅行(前期課程)
2年研修旅行:明日香村
マラソン大会 など
クラブ活動
22の運動部と12の文化部があります。特に後期太鼓部は都大会の優勝や関東大会・全国大会の出場など優秀な成績を修めています。地域のお祭りでも演奏するなど、活躍中です。
また、南多摩フィルハーモニー(オーケストラ部)も全国大会出場を果たしています。
卒業後の進路
東京大学を始めとする国公立大学や、早慶上理、MARCHなどの大学に多数が進学します。令和3年度卒業生の大学合格実績で最多だったのは、明治大学の66人でした。
学校アクセス
・京王八王子駅西口より徒歩3分
・JR八王子駅より徒歩12分
制服
女子でもボトムにスラックスを選べるのが特徴。制服はブレザースタイルで、ボトムスは前期はグレー系、後期はブルー系の チェック柄になっています。ネクタイとリボンは爽やかなストライプです。
入学試験について
都立中高一貫校では、入学者決定にあたって学力検査は行わず、各校の特色、育てたい生徒像などに照らし合わせた適性検査を行います。
南多摩中等教育学校の適性検査では、自分自身で問題を発見し、 筋道を立てて考え、より良くその問題を解決しようとする態度や能力を見るために行っています。
日程と受検料(令和4年度入学)
出願受付 令和4年1月12日(水)から令和4年1月18日(火)まで
検査 令和4年2月3日(木) 午前8時30分集合
適性検査Ⅰ/ 午前9時~午前9時45分
適性検査Ⅱ/ 午前10時25分~午前11時10分
◎受検料は2,200円
出願方法
郵送(出願受付期間に、八王子郵便局に必着(郵便局留))により受付
学費
前期課程では義務教育のため、入学料・授業料はかかりません。教科書も無償給与です。 後期課程では、3年間で授業料が約350,000円がかかります。
主な初年度学校納入金(年額)
◆ 諸費用
教材費 約 78,000 円
給食費 約 64,000 円
生徒会・PTA費 約 5,500 円 計 約 147,500 円
制服・体育着など一式 約 73,000 円
◆ 校外学習として宿泊行事のための積立を行う場合があります。
南多摩中等教育学校の受検
南多摩中等教育学校の入試形態には「推薦枠」はなく、いわゆる適性検査型入試のみで、面接試験は行いません。南多摩中等教育学校の受検は、小学校からの報告書、適性検査の点数の合計で合否が決まります。報告書点と筆記試験の配点比率は2:8です。
適性検査について
都立中高一貫校の受検(受験)は適性検査と呼ばれます。この適性検査は共同で作成した問題と各校で独自に作成した問題との組合せにより実施しています。
南多摩中等教育学校の適性検査は、適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱの2教科を実施します。2つの検査のうち、適性検査Ⅱの比重が重く、確実な得点力が必要といえるでしょう。
適性検査Ⅰ
適性検査Ⅰは南多摩中等教育学校の独自作成問題を使用しており、国語の記述問題タイプです。
大問は1題、小問3題の構成で、毎年説明文や論説文を題材としています。文章中の内容説明をさせる問題2題(25~35字)と、文章の内容を抑えつつ自分の意見を自分の体験などに基づいて述べる問題(400~500字)が出題されています。
意見を述べる問題では、文章構成について詳しい指示があるので、過去問等で慣れておく必要があるでしょう。
読解力の向上と作文の指示に従って正確に文を作る記述対策が最も重要となります。文章から要点を抜き出し、400字前後で簡潔にまとめる練習が必要です。日頃から本をたくさん読むこともプラスに働くでしょう。
適性検査Ⅱ
適性検査Ⅱは都立中の共同作成問題を使用します。近年は大問3題の構成で、内容は、算数・理科・社会から出題されます。データや資料を読み解く力、分析・判断し自分の持つ知識と合わせて論理的に考察し、表現する力が必要です。
算数の図形や規則、理科や社会の資料やグラフを読み解く訓練を行いましょう。まず必要となるのは各科目の基本的な知識です。基礎をしっかりと固めることを目標に取り組んでください。
適性検査Ⅱにおいて、特に重要なのが理科から出題される大問3。他の大問より得点の比重が重くなっています。
大問3は、いわゆる「対照実験」の問題です。仮説を確かめるために条件を複数に分けて、その結果に影響する条件かどうかを設問中の図やグラフなどから判断します。実験結果からの予測や仮説を立てる能力や、それを論理的に表現する力が大切です。こうした傾向は、入学後に行うフィールドワークにも活かせるものとなりそうです。しっかりと対策しておきましょう。
時事問題や社会問題がベースになる問題が出題されることがありますので、日頃からニュースや新聞を読んだりと、社会に対するアンテナを高くしておくのがおすすめです。
南多摩中等教育学校
南多摩中等教育学校は、「フィールドワーク」や「WWL」など、探究的な学習を大切にしているのが特色の進学校ですね。こうして培われた調査力や表現力は、大学進学後や社会に出てからも重宝される力だと感じます。
南多摩中等教育学校は、令和4年度では、6月~11月にかけて授業公開や学校体験、学校説明会、個別相談会などが開催されます。南多摩中等教育学校に興味を持った方は、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。
南多摩中等教育学校の受験対策
このように南多摩中等教育学校の過去問題を見ていただくと分かりますが、ほとんどが記述式の出題形式です。
また、論理的な思考や、課題を読み取って表現する力が必要だと分かっていただけるかと思います。記述式の問題対策として大切なのは、とにかく量を書いて、都度添削を受け、適切なフィードバックを受けることです。可能であれば、個別の指導を受けることが望ましいでしょう。
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参考URL
1_12 (metro.ed.jp)←パンフレット
学校別「都立中に合格するには」④南多摩中等教育学校 の紹介|家庭教師Camp (kateikyoushicamp.jp)
南多摩中対策コース | E-style(イースタイル) | 都立中高一貫校と最難関都立高校対策の新·合格様式の学習塾 (eikoh-seminar.com)
東京都立南多摩中等教育学校 の中学入試情報・受験対策 | 個別指導のオンライン家庭教師WAM
No.838 都立中高一貫10校 丸わかり! | 中学受験鉄人会 (chugakujuken.net)
<都立中高一貫校>適性検査の特徴・内容と対策 – 都立中学・都立中高一貫校の受験情報 (toritsu-chugaku.com)
WWLコンソーシアム構築支援事業 | 東京都立南多摩中等教育学校 Tokyo Metropolitan
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<公立中高一貫> 1年でいくらかかるか徹底解説! | 東京都立中高一貫受検専門 Polit (ikkan-polit.com)