総合型選抜とは?小論文とは?総合型選抜の解説

最近よく耳にする「総合型選抜」、いったいどのような試験なのでしょうか?

総合型選抜と、その対策の中心となる「小論文」について、歴史や内容などを解説します。

総合型選抜とは

「総合型選抜」とは、面接や小論文などを通して人物を評価することにより、アドミッションポリシーに合致する人物を選抜する入試選抜方式のことです。

学科試験による一般選抜や学校推薦などの選抜方式と区別されています。

2021年から「総合型選抜」に名称が変更

総合型選抜はかつて「AO(アドミッション・オフィス)入試」として知られていました。
20214月入学者対象の試験(令和3年度入試)から、「総合型選抜」に名称が改められました。

一般選抜や学校推薦型選抜と違い、志望理由書や調査書といった書類審査、小論文や共通テストなどの学力試験、面接など、文字通り”総合的な力”が問われる試験です。

アメリカのAO制度とも似ていますが、アドミッション・オフィス(AO)が入試選抜を行う方式とは異なり、日本独自の選抜方法です。

総合型選抜とAO入試の違い


総合型選抜はかつての「AO入試」とどのように違うのでしょうか?

AO入試は30年以上前、1990年(平成2年)に始まりました。

大学入学者に占めるAO入試合格者の割合は増加の一途をたどり、2017年度には大学入学者のうち、国公立大学では3.1%、私立大学では10.7%に達します。
また、同年度には全大学の73.8%でAO入試が実施されました。

ところが長年行われていくうち、ペーパーテストが課されないAO入試は「学力を問われない入試」というイメージが広がってしまいます。
また、語感も、本来意味するところが分かりづらいネーミングでした。

学力も含めて総合的に見ていこうという本来の趣旨に立ち戻り、「総合型選抜」に名称が変更されたというわけです。

したがって、一般選抜と同様、時代の変遷によって試験内容に若干の変化はあるものの、学力一辺倒の「一般選抜」に相対する基本的な立ち位置は変わっていません。

総合型選抜や小論文試験を新たに採用する大学や学部が増加するなど、その存在感は年々増しています。

総合型選抜の流れ

総合型選抜では大学によりますが、調査書・志望理由書・活動報告書・面接・小論文・プレゼンテーション・評定平均などのいくつかの審査準から、合否が決定されます。

総合型選抜の出願開始は91日以降となっています。
その後、1次発表や2次試験(小論文・面接など)を得て、合格発表は11月以降という流れが一般的です。

学校推薦型選抜や一般選抜に比べ、数ヶ月早いスケジュールになるため、早めの準備が必要です。

総合型選抜と学校推薦型選抜の違い

国公立大学の総合型選抜試験の合格率は、だいたい30%程度と言われています。

総合型選抜は学校推薦型と違い、公募推薦型の入試であるため、学校ごとの合格者枠が用意されていないのが特徴です。

また、高校3年間の学科の成績が評価される学校推薦型選抜と違い、総合型選抜では課外活動や小論文など、学科以外の評価が大きく考慮されるのが特徴です。

自己と向き合う総合型選抜

総合型選抜では「小論文試験」が課されることが大きな特徴です。
これはどうしてなのでしょうか?

総合型選抜では、志望理由書や調査書を準備する過程で、部活・探究・ボランティアなどこれまでの自分の歩みを振り返ることになります。

それは、諸活動を通して「自分はどんなことを考え、感じ、どんなことに気づいたか。今後、どうしていきたいか」という問いを深めていく作業にほかなりません。

自分自身の過去と向き合い、未来の目標(学ぶ目的)を明確にする。

決められた問いに対する「答え」を導くのではなく、自ら「問い」を作り出す力が総合型選抜では問われます。

逆に言えば、自分自身の目標や進路、大学で学びたいことが明確に定まっていない受験生は、総合型選抜には向かず、志望理由書や小論文の作成で苦心することになるでしょう。

小論文試験の目的

志願者の「問い」を設定する力を、具体的に見定めるのが小論文試験です。

小論文では、自発的な問題意識から生まれた「問い」に対する自分の考え(=意見)を、読み手を納得させるために、裏付けとなる論理的根拠を筋道立てて示す必要があります。

裏を返せば、小論文特有の”文章の書き方”が重要です。
なんとなく思ったことを漠然とつらつら述べてはいけません。

明確かつ簡潔な文章群が有機的に連携し、自身の主張を読み手に必然的に連想させるような論理的なつながりをもった文体で記述することが求められます。

また、内容の観点からいえば、小論文は書き手の知識や常識、観察力、論理的思考の型などができているかどうかを計る試金石になります。

したがって、小論文試験の目的は、文章構成力に裏付けられた「総合的な思考力」そのもののレベルをみることだといえます。

小論文作成に必要な構成力

小論文作成で第一に必要なのは、優れた文章構成力です。
基本構成をまず考えてから、その構成に沿った文章を書き出します。

逆にやってはいけないことは、いきなり文章を書き始めてしまうことです。
小論文をしっかりと書き上げるうえでは、国語の作文の授業で無意識に培われてしまう、こうした”悪いクセ”を意識的に直さなければなりません。

問いは何か、問いに対する自分の意見は何か、その根拠は何か。

それぞれについて考えを掘り下げたのち、「問い→意見→根拠1→ 根拠2→まとめ」のように、順序立てて書きます。

すなわち、小論文は核となる主張を組み立てる各段落が積み上がって構成されます。
段落ごとに必要な字数を守りつつ、筋道立った文章を書かなければなりません。

各段落内では、最も主張したい文章を補強するための文章を揃えます。
挙げた根拠に対し、反例や例外が予想されるならば、前もって対応する必要もあります。

このように、全体として破綻のないピラミッドを建てるかのごとく、論理を精緻に組み上げていきます。

小論文対策には個別指導塾が有効

小論文にはさまざまな要素が含まれるため、他の教科の勉強と違い、独力で対策を講じることはかなり難しい分野だといえます。

限られた期間内に有効な対策を行うには、やはり数々の指導合格実績をもつ小論文添削のベテラン講師が在籍しているような個別指導塾に通うことがベターです。
個別指導塾であれば、百戦錬磨の講師からマンツーマンの添削指導を受けられるからです。

何度も小論文を作成し直す過程で、有益なアドバイスを受けながら短期間のうちにメキメキ力をつけることができるでしょう。

幅広い対策が必要な小論文

本番の小論文試験では、どのようなトピックが出題されるかわかりません。

特に専門的なトピックに関わる小論文の場合、根拠を述べるために客観的かつ正確な知識をある程度下調べしておく必要があります。

いかなるジャンルの問題が出題されてもいいように、幅広いトピックに対する小論文をいつでも書けるような入念な準備が重要です。

小論文対策は早めの準備が大事!

このように、総合型選抜の小論文試験は、受験生自身の実力や総合力が問われる試験です。
暗記や公式の丸覚えですぐに対策できるような付け焼き刃の方法では間に合いません。

そして秋出願に向けて、遅くとも受験年度の春には小論文の対策を開始しなければいけません。

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