桐朋中学の特色と入学するための受験対策

概要

元々陸海軍の学校として設立された桐朋中学校は、文武両道の考えのもとに男子の名門一貫校としても有名です。生徒の主体的な取り組みに重点を置いた学習プログラムと自由な校風で人気を集めるこの学校は、中央線国立駅から学校までの道すがら四季の移ろいを感じ、雑木林を抜けてあらわれる広々とした校舎はのびやかな環境そのものといえます。2016年に改築された真新しい校舎と、八万冊の書籍を擁する図書館、敷地内にある天文ドームやプラネタリウムなど設備が充実していることも人気の理由の一つです。

教育について

桐朋中学校では早くから大学進学に向けた授業カリキュラムが設定されていますが、中学在学中はまず基本的な学習習慣や教養をしっかり身につけることに重点が置かれています。近年“対話と創造“を教育のテーマに掲げているこちらの中学校では、今までの“教えてもらう“形が主流だった学習スタイルから、学びの主体の生徒たちに委ねる方向での学習スタイルの確立に力を注いでいることにも注目です。同校では(1)筋道や進むべき方向を自分の力で組み立てて説明できるようになること、(2)知識のインプットだけではなくアウトプットする機会を多く取り入れることをモットーに、学校生活における必須授業の時間数を35時間から34時間へ縮小し、同時に全ての曜日を6時間授業までにするという試みを取り入れています。毎日のリズムを均質にすることで生徒たち自身が生活のリズムを自発的に整えながらカスタマイズできるようにし、中学校3年生になると7限目には“特別授業“と呼ばれるセレクト受講できる授業がいくつも用意されています。各分野の第一人者と呼ばれる大人と直接接点の持てる機会を使って天文学や文学、国際交流など「受験勉強一本槍ではない、ちょっとニッチで深い興味をそそる研究テーマ“について考察して掘り下げる面白さを体感できます。また、一貫校では進度も早く専門性も高い授業が展開されるため、専任教員を中心とした手厚い指導体制が敷かれています。同校には桐朋中学校の教員の間で年に1回発刊される「桐朋学報」と呼ばれる学術雑誌があり、教員の研究成果の発表の場としても位置付けられていることからも指導教育の専門的なレベルが高いことがわかります。こうした取り組みの他にも、現在教育の5つの柱として、哲学・数学・化学・社会化学の他にITを活用した協働を挙げており、こうした先進的な学習プログラムの導入には、子供たち自身の“自走する力“を育て社会にでる際に自分で仕事を組み立てていけるようになって欲しいという学校側の意思が感じられます。

進学について

中高一貫校のため付属の桐朋高等学校へ内部進学することができる桐朋高校は、東京都の難関私立高校屈指の大学進学実績を誇る名門校です。有名難関大学の進学だけでなく、医学部への合格者が多いことでも知られています。高校1年生になると、将来の職業イメージを深めてもらうために在校生や卒業生との懇談会に参加できます。10年前に卒業した先輩たちから「進路とは」「仕事とは」という生の声を聞くことを通して、豊かな人間性と学力のバランスのとれた人材を育成することを目的としています。少しさきを歩く先輩の話をきき、これを一つのきっかとして夏休みには「私の将来」というテーマでの作文を書いたものを毎年冊子にまとめて発行しています。高校2年生になると、秋口に「これからの1年について」という冊子が配られ、11月に大学で研究を行なっているOBの研究者から「大学とは」「学問とは」というテーマで話を聞く機会があります。そして高3ではいよいよ最終的な大学の選択をします。自分の意思で進路を選択するために、自分が何がしたいのかを内観して大学を選べるような環境作りに力を入れている学校です。また、勉学だけでなくクラブ活動や委員会活動を通して自発的な提案や行動を起こせる力を育てることも大切にしていることが伺えます。

傾向と対策について

算数:試験時間は50分、100点満点です。難易度の高い図形問題や数の性質についての問題に後半時間をかけられるようにするために、基本的な問題でのケアレスミスを防ぎしっかり得点源にして点数をかき集めていくことが必要です。図形問題は図を書いて考え方を整理する必要があるので、事前に過去問題などを通して解答を導き出す練習を行い慣れておくことが必要です。速さ、数の性質、割合や比、図形などが頻出単元は毎日分割して学習を繰り返し、苦手分野を潰していくことが効果的な学習になるでしょう。

国語:試験時間は50分、100点満点です。漢字や記号選択、書き抜き問題は記述と際立って特異な問題の出題はありません。部分的に難しい問題もありますが、基本的な問題も多いのでまずは過去問題でどの種類の問題に時間がかかるのか、苦手としている問題と得意としている問題はどんな問題かを分析しましょう。漢字は絶対に落とさないように頻出のものをしっかり日頃から確認しておきましょう。全体の文章量が比較的多いことと字数制限のない記述が出題されることから、日頃から文章の要点をつかんでまとめたり表現したりする練習が必要になります。過去問題・類似の問題に十分慣れておくと同時に、ある程度制限された時間で書き上げる練習と都度専門分野に特化した第三者に添削をしてもらう必要が生じます。

理科:試験時間は30分、60点満点です。化学・物理・生物・地学からそれぞれ大問1つずつバランスよく出題されます。過去問題を見ると単元に偏りなく満遍なく出題されているため、全ての単元について苦手としている単元や分野を早めに炙り出して一つ一つ潰していくことは必要になります。実験の観察やデータの読み取りといった問題に時間をかけられるように、そのほかの問題をどれだけ正確かつスピーディにさばいていくかが重要になります。苦手分野の応用問題は単元ごとに類似の問題を探してパターンに慣れていくようにしましょう。ご自身でどんな問題を練習したら良いか探す時間を取るよりも、指導してくれる先生や専門分野に強い方に問題を選んでもらうと良いかもしれません。

社会:試験時間は30分、60点満点です。例年歴史・地理・公民の3分野から満遍なく同じくらいの分量で出題されます。選択問題・語句記入・記述問題と形式についてもほとんど変更がありません。問題の難易度も年による偏りはみられませんが、地理では地図やグラフを使った問題が頻繁に出題されるので、複数分野にわたって定期的に地図やグラフの問題に触れるようにすると良いでしょう。計算や読み解くことに時間をかけすぎてしまうことのないように国語同様家庭で単元学習として取り組むときには制限時間をつけて問題を解きましょう。また、歴史では文化史や工業史などある程度よく出題される単元が見えてくるので、過去問題を解き進めながら傾向を掴みつつポイントになる記述問題やよくその時代で出題される資料などをチェックしておくことも効果的です。

学習を進めていく上で鍵になるのが、前述の通り記述問題を定期的に添削してもらうことと、頻出問題や苦手項目に関して継続的に問題パターンに慣れていくような学習配分ができるスケジュール構築です。特に記述の問題は、模範解答に沿って自己採点をするだけだとなかなか精度が上がっていきません。専門分野に特化したプロに採点してもらいながら、なぜ間違っているのか、どう書き直せば丸になるのかといったやりとりを繰り返し、初見の問題に一人で対応できるようになる基準を一致させていきましょう。