東邦大学医学部への内部進学基準と基礎学力・適性試験対策
東邦大学は学部によって偏差値が異なりますが、看板学部である医学部は偏差値が高いため、内部進学は非常に魅力的な進学方法といえるでしょう。
ただし、内部進学するには付属校からの推薦が必要であり、簡単に進学ができるわけではありません。
本記事では、東邦大学医学部へ内部進学するために重要な内部進学基準と基礎学力・適性試験の対策について紹介します。
東邦大学医学部の内部進学の選抜方法
東邦大学医学部の内部進学は「推薦入試(付属校制)」という形で受験する生徒がほとんどで、東邦大学の付属校である東邦大学付属東邦高等学校および駒場東邦高等学校の推薦者から選抜されます。
令和7年度の東邦大学医学部の推薦入試(付属校制)の概要は次のとおりです。
募集人数 | 25人 |
出願期間 | 学校長を経由して出願 |
試験日 | 1次試験:2024年11月15日(金)大森キャンパス 2次試験:2024年11月30日(土)大森キャンパス (※2次試験は1次試験合格者のみ) |
合格発表 | 学校長を経由して発表 |
試験方法・科目 | ・適性試験 ・基礎学力 ・面接 |
その他条件 | ・合格した場合は入学を確約できること ・総合入試・同窓生子女入試との併願は不可 |
令和6年度の東邦大学医学部の推薦入試(付属校制)の入試結果は、志願者数・受験者数23名に対して、合格者数は20名です。
付属校の推薦を受けられたとしても、東邦大学医学部へ確実に進学できるとは限りません。進学を確実なものにするためにも、しっかりと対策をしておくことが大切です。
付属高校から内部進学するために必要な基準
付属校から東邦大学医学部に内部進学するためには、学校からの推薦が必要となります。
推薦を受けるためには一定の基準をクリアしなければなりません。ここでは、主要な基準について紹介します。
定期考査
付属高校が東邦大学医学部へ推薦する生徒を選抜するにあたって、最も基本的な基準としているのが、定期考査の成績です。
付属校である東邦大学付属東邦高等学校・駒場東邦高等学校ともに、年間5回の定期考査が実施されます。
また、評定は絶対評価でつけられます。絶対評価では「生徒が各教科の目標に対してどれだけ実現できたか」が基準となるため、生徒の人数に関係なく基準の到達度によって評価が決まります。
内部進学の推薦を受けるには、5段階判定の平均値が4以上あることが望ましいことを考えると、定期考査は1教科平均80点以上を目指す必要があります。
5段階評価平均値
東邦大学医学部は偏差値が高く、内部進学である付属校推薦の受験でも合格率は100%ではないことからも難易度が高いことが分かります。
そのため、内部進学を目指す場合でも5段階評価の平均値は4以上あることが望ましいでしょう。
5段階評価は定期考査の結果を中心に評価されますが、授業態度や提出物も評価の要素となるので、日々の学業に励むことが非常に重要です。
東邦大学の内部進学状況
東邦大学付属東邦高等学校 令和6年度 東邦大学合格者数
学部 | 現役 | 既卒 | 計 |
理学部 | 4 | 1 | 5 |
医学部 | 22 | 4 | 26 |
薬学部 | 12 | 3 | 15 |
(引用:東邦大学付属東邦中学校・高等学校)
駒場東邦高等学校 令和6年度 東邦大学合格者数
合計 | 現役 | 既卒 | 医歯学部 |
15 | 10 | 5 | 12 |
(引用:駒場東邦中学校・高等学校)
東邦大学医学部の内部進学の状況を見てみると、令和6年度の東邦大学付属東邦高等学校の現役合格者数は22名、駒場東邦高等学校の医歯学部の合格者数は12名です。
特に東邦大学付属東邦高等学校は、現役生徒459名に対して22名の合格者を出しており、医学部への内部進学率は約4.79%と比較的高い進学率となっています。
その一方で、駒場東邦高等学校は現役生徒336名に対して歯学部も含め12名の合格者を出しており、医学部への内部進学率は約3.57%と東邦大学付属東邦高等学校よりも低い水準で留まっています。
その理由として、駒場東邦高等学校では国公立大学の医学部や他の私立大学の医学部へ進学する生徒が多いためと考えられます。
付属校推薦での受験は、一般の入試とは異なる特有の試験内容や選抜基準があるため、それに対応した対策が不可欠ですが、しっかりとした対策を行えば、東邦大学医学部への内部進学が実現できるでしょう。
1次試験対策
東邦大学医学部の内部推薦入試は1次試験と2次試験に分かれており、1次試験では「適性試験」と「基礎学力検査」が行われます。この試験を合格しなければ次の2次試験には進めないため、しっかりと対策しておく必要があります。
適性試験
適性検査はマーク方式で問題が出題されます。
令和6年度は大問3題・全48問が出題されました。出題内容は以下のとおりです。
- 文字の間違い探し
- 図形の一致
- 状況判断
適性検査の注意点として、大問ごとに回答時間が決まっているため、時間が余っても前の大問を解き直すことはできません。
そのため、速さと正確さが必要となります。
問題数が多いですが、トレーニングを行いしっかりと対策をしておけば、時間に余裕を持って解くことができます。
基礎学力検査
基礎学力検査は要約や論述などの記述問題を中心に出題されます。
令和6年度は大問4題が出題されました。出題内容は以下のとおりです。
- 文章の並び替え問題(5題)
- 数的処理問題 (1)規則性の数的処理問題(2)空間処理能力問題
- グラフからわかることを読み取り論述する問題(4題)
- 文章の要約問題(200字)
基礎学力検査は記述問題のため問題一つ一つに時間が掛かるため、しっかりと対策を行っていても時間がタイトになることが予想されます。
解く順番や時間配分など、通常の一般入試対策と同様に対策を練る必要があります。
基礎学力検査で特に注意が必要なのが、大問3の論述問題です。
東邦大学医学部を志望する生徒は理系の生徒がほとんどのため、文章を書く力が十分に身に付いていないと考えられます。
合否にも大きく影響するため、文章を書くトレーニングも行っておきましょう。
2次試験対策
2次試験は面接試験が行われます。「集団討論」と「MMI形式の個人面接」の2種類の面接があり、それぞれに対して対策が必要です。
面接試験の内容と対策について、詳しく説明します。
集団討論
集団討論は、何人かのチームを作り、対立する2つの意見についてどちらの意見を支持するかを決め、その理由をチームで発表して討論します。
討論を始める際には、進行役・発表役・書記など役割を決めて進行されます。
午前の部と午後の部があり、テーマは同じですがグループごとに異なる問題が出題されます。
集団討論は初対面の受験生と討論しなければならないため、緊張するかもしれませんが、身構える必要はありません。
自分の考えを簡潔に相手に伝え、相手の話を上手に聞き、その上で発言することを心掛ければ、うまく討論に参加することができるでしょう。
また、この集団討論は相手との関わり合い方を見られる試験のため、相手の話を頷きながら聞いたり、話の内容をメモを取るなど、相手の話を聞いていることをアピールすることも重要です。
MMI形式個人面接
MMI形式の個人面接は、全3回実施されます。
面接部屋が3部屋用意され、1部屋につき1回の問題が出題されます。その問題に関して面接官から3つ質問されます。
つまり、全部で9つの質問に答える必要があります。
こちらも午前の部と午後の部で分かれていて、テーマは同じですが問題の内容が異なります。
令和6年度の付属校推薦での出題内容は、以下のとおりです。
- 写真を見て答える問題
(1)砂丘の写真を見て、風紋について答える問題
(2)雲の写真を見て、笠雲について答える問題 - モラルを問う問題
(1)受精卵のゲノム編集で研究者が逮捕された問題
(2)SNSが社会に対して与えた悪影響についての問題 - 相手のために動いてあげる・思いやりの気持ちに関して問う問題
(1)海外から戦争で日本に避難してきた外国人が買い物で困っている場面に関して
(2)車椅子の同級生とクラス旅行に行くことに関して
上記3題の問題から、(1)または(2)のどちらかが出題されました。
それぞれの問題で傾向や対策が異なるため、詳しく説明します。
1.写真を見て答える問題
写真を見て答える問題は、事前に準備ができるものではなく、自分の持っている知識を使ってどのように答えるかがポイントです。
そのため、普段から様々な知識を取り入れ、考え方を学び、答えを導き出せるようにトレーニングしておくことが必要です。
2.モラルを問う問題
モラルを問う問題では、質問された問題について、どの視点において問題があるのかを自分の言葉で答えなければなりません。
また、この問題では医療用語に関連した問題が出題されるため、医療用語の知識も身に付けておく必要があります。
医療用語を理解し、「自分はどのような意見を持っているか」を考えることが習慣化することで、面接でも問題に対して自分の意見をしっかりと答えることができるでしょう。
3.相手のために動いてあげる・思いやりの気持ちに関して問う問題
医学部に進学するにあたって、将来なるであろう医師として、また人として、相手を思いやる気持ちは非常に重要です。
ただ助けるのではなく、相手が自立できるように支援するという視点も求められるため、多角的な視野で思いやりの気持ちについて考えておくと良いでしょう。
東邦大学医学部の基礎学力・適性試験対策
東邦大学医学部への内部進学は、多くの利点がありますが、内部進学するに付属校推薦を受験する必要があります。
内部進学とはいえ、推薦入試で実施される基礎学力テスト・適性試験・面接試験は難易度が高いため、しっかりとした対策が必要です。
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