明治大学付属明治中学の特色と入学するための受験対策

概要

大学入試でも人気を集める明治大学の直系校ということもあり、首都圏の受験生からは早慶附属高校と並んで最難関私立に位置付けられています。2008年に調布に移転した際に施設が一新され、図書館やコンピュータールーム、大きな講堂やフリースペースにカフェテリアがあり、大学顔負けの自由な空間でのびのびと調べ学習や自由時間を楽しめる環境が整えられています。さらに、グランドや体育館、剣道場にテニスコートといった運動設備も完備されています。近年の情報化やジャパン・スタンダードの雇用形態の崩落などにより、同校では「国際標準に対応できる問題解決能力を備えた人物を育てること」を教育方針として大きく打ち出しています。そのため昨今では、“英語によるコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力は今後子供達が世界標準で第一級の仕事ができる人材になるための必須条件“として力を入れています。年度初めに行われるリーダー研修会では、部活動やクラスの代表を務めたリーダーたちが各機関の活動計画の策定や運営を通してリーダーシップを磨いています。しっかりとした学力の土台を形成しつつ、意欲的に高めあっていきたいと考えて仲間と出会える環境が整っていると言えるでしょう。

教育について

週6日授業を採用している同校では、基礎的な学力を高めるために十分な時間を確保しています。国語の英語の授業数は他科目より多く設定されており、また週1回のペースで英語と数学の補習も設定されています。英語は習熟度別のクラスに分かれており、個々の理解度に合わせた少人数生の丁寧な指導を行なっています。同校の特徴的なカリキュラムとして、「高大連携プログラム」や「小論文演習」などの実践的な教育プログラムがあります。明治大学と連携して行われる「高大連携カリキュラム」では大学の基礎的な授業を毎週2時間受講することができます。また、明治大学と連携して資格取得や英語力向上を目的として行われる集中講座も開設しています。また、高校3年生になると小論文演習という授業を必修で受講することになりますが、この演習では小論文の作成を通して自分の考えや価値観を言葉にする練習を行い、冒頭で登場した“課題解決力“に繋がる自己対話と表現力を鍛えていきます。他にも、同校では「NIE」(自己判断力を向上させ、学習に主体的にアプローチを行う能力を鍛えるプログラム)の研究発表全国大会が開催されたり、人間関係改善のためのグループエンカウンターの一つである「ジグソー法」を用いた生徒の居場所づくりに取り組むなど、知識やスキルの習得に止まらない先進的な全人教育で各地から注目を集めています。

また、概要にて前述した通り国際社会の第一線で活躍できる人材育成を掲げていることから、学校内における英語教育にも力を入れています。年一回行われるスピーチコンテストでは選抜された中学3年生から高校1年生10人がテーマを決めて英語でプレゼンテーションを行い、選抜された10人には語学研修用の奨学金が支給されるという制度を有しています。さらに、学校取材の夏期集中講座として明治大学主催の「簿記検定講座」「法学検定講座」「TOEIC講座」など充実した講座設定により学生が有意義に長期休暇を使えるように配慮がなされていることが伺えます。

進学について

高校での進級の基準はやや厳しめではあるものの大学進学にあたり基準をクリアすればかなり高い確率で希望する学部に入ることができると言われています。他の大学を受験する場合、明治大学にない学部を受験するなどの条件が存在しますが、大半の学部が外部受験可能です。

傾向と対策について

国語:試験時間は50分、100点満点です。例年、論説あるいは説明文が出題されています。文章量は比較的多いので事前に過去問題を何年度分もこなしながら、50分のうちどれくらいの時間で通読できるのかを把握しておく必要があります。選択問題・空欄補充・抜き出し・脱文挿入・乱文整序・記述問題と出題される形式は特異という訳ではありませんが、設問が比較的シンプルなので出題者の意図を読み解き解答を作成する必要があります。文章中に登場する語句を拾うだけでなく、自身の言葉も交えて相手に伝わる表現にしてまとめる練習が重要です。漢字も多めに出題されているため、問題集などを用いて日常的に知識を補完し、過去問題で登場した漢字や文章中に出てくるわからない言葉など、初めて触れる言葉や表現はその都度調べて知識や使い方を補っていく姿勢が必要です。

算数:試験時間は50分、100点満点です。大問1で登場する1行問題に関しては、意外と配点が高いのでしっかり慎重に解き進めていきましょう。自宅で学習する際には自分の苦手とする種類の問題を把握しながら、個々に適したレベルの1行問題集をコンスタントに解いて問題に慣れていくようにしましょう。大問2以降は途中計算や式も含めて採点の対象となるため、採点者が読める文字やぱっと見て経緯がわかるような途中式の残し方も普段から意識しましょう。線分図や面積図、方程式などを用いて説明するとよりわかりやすく相手に伝えることができる問題もあるため、過去問題を解いて採点する際には正否だけではなく途中過程もパターンとして再現できるレベルになるまで練習しましょう。単元としては、割合と比・食塩水・ニュートン算など頻出単元は今後も対策が必須です。過去問を見てよく出てくる単元についての学習は、同じ日にたくさん解くよりも試験当日まで毎回触れていくような学習計画を立てることで解法を染み込ませていきましょう。

理科:試験時間は40分、75点満点です。出題は物理・化学・地学・生物からバランスよく出題されます。語句などの基本的な知識だけではなく、思考力を問われる問題を出題されています。また、実験や観察の問題では「結果がこうなる」という事実だけではなく、その過程や結果からわかることを自分の言葉で表現する力が求められます。グラフの読解、作図、計算問題、記述問題とさまざまな形式の問題を出題するため、問題を解き慣れるだけではなく日頃から「なぜそうなるのか」「ここからわかることは何か」を話したり書いたりする習慣を持つことが必要です。

社会:試験時間は40分、75点満点です。歴史・地理・公民はほぼ均等に出題されます。基本的な知識がしっかり入っていれば、一見難しそうでも読み解くことができる問題なのでまずは抜けを作らないように知識の穴を毎日埋めていきましょう。また、時事問題の出題もあるため新聞のダイジェスト雑誌や受験生用の時事まとめ本などを使って知識を積み上げていく時間を意識的に持ちましょう。思考力を試すために受験生が知らないような問題やある分野を掘り下げた作問がされることもありますが、「ほとんどの受験生が知らない」ことを前提に作られている問題なので日頃の価値観や考え方を試されていると思って楽しんで臨めることが重要です。選択問題・語句記述・年代整序・記述問題といった一般的な解答形式はもちろんのこと、3単元のテーマ横断型の出題や複数完全解答・組み合わせ解答などもあるため慌てずに対応できるように時計を意識しながら丁寧に作業していく練習を積みましょう。

国語の記述問題だけでなく時事問題の学習に適した教材の選定、途中式や考え方の採点など自分で採点することが難しい形式の問題が多いので、可能な限り専門分野に特化した先生と二人三脚で入試までの期間すり合わせを行なっていくことをお勧めしています。