小学生が塾に通っている割合
小学生の中には、夜遅くまで塾で勉強している子もいますよね。「うちの子も塾に通わせようかな?」と思ったときにチェックしていただきたいのが、小学生が塾に通っている割合です。入試は競争です。競争に負けないためには、塾通いをしている子がどのくらいいるのかを知ったうえで、塾の必要性を考えると良いでしょう。
塾通いをする公立小学生の割合と目的(全国)
データ出典:平成28年度全国学力・学習状況調査 回答結果集計【児童質問紙】(http://www.nier.go.jp/16chousakekkahoukoku/factsheet/data/16p_408.pdf)
小学6年生を対象とする全国学習状況調査によれば、塾(家庭教師を含む)で勉強していない公立小学生の割合は53.9%です。そのため、単純計算すれば、塾で勉強している公立小学生の割合は46.1%となります。家庭教師の利用率は塾と比べて低いと考えられます。また、家庭教師と塾を併用している小学生もいるでしょう。そのため、塾通いをしている公立小学校6年生の割合は半数弱、と理解できますね。
小学6年生の段階では、中学受験をする子は100%近く塾通いをしていると考えられます。また、中学受験をせず公立中学に進学する子の中にも、学校でわからないところを塾で学んでいるケースがありますよ。「塾通いをしている」という回答の中にも、様々なケースが含まれているはずです。
では、塾に通う公立小学校6年生が、塾でどのような内容を学んでいるのかを見てみましょう。
データ出典:平成28年度全国学力・学習状況調査 回答結果集計【児童質問紙】(http://www.nier.go.jp/16chousakekkahoukoku/factsheet/data/16p_408.pdf)
塾で勉強している、と回答した小学生のうち、約半数が学校よりもハイレベルな内容を塾で学んでいることがわかります。「学校よりもハイレベルな内容」の代表格は中学受験勉強でしょう。そのため、データからは中学受験を目的とした塾通いをしている子が多いと言えますね。
中学受験以外でも、中学での勉強に備えて数学や英語の先取り学習をしている、というケースが考えられます。ただ、このケースでは学校の勉強でわからないところを習うこともあるでしょう。「両方」に含まれる子の多くが、中学受験はしないものの、中学での内申点確保や高校受験に向けたスタートダッシュとして塾を利用しているのではないでしょうか。
塾に通っている子が約半数いて、その中でも半数程度が学校よりレベルの高い内容を塾で学んでいるというデータが示されています。レベルアップを図るためには、塾を活用する子が多いとわかります。
では、塾に通わないで学校以外の勉強をすることは難しいのでしょうか。平日1日当たり1時間以上、学校以外で勉強すると回答した公立小学校6年生の割合は、62.5%です(平成28年度全国学力・学習状況調査 回答結果集計【児童質問紙】)。塾(家庭教師を含む)で勉強している公立小学生の割合は46.1%ですので、塾に通っていなくても1時間以上、学校以外で勉強している子供も1割弱いることがわかります。自宅で保護者様がフォローするなどの取り組みをされている子が該当するのではないでしょうか。
公立小学校では、毎日1時間以上勉強するためには塾通いをすることが基本と言えますね。自宅で勉強を見てあげる時間がなかなか取れない、という保護者様は、お子様の勉強時間を確保する上で塾の利用を検討されているケースが多いと考えられます。塾通いをさせるかどうかでお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
塾通いをする公立小学生の割合と目的(地域規模別)
塾に通っている公立小学生の割合は、地域によって異なります。そこで、大都市と町村部で塾通いをしている公立小学生の割合を比較してみましょう。
データ出典:平成28年度全国学力・学習状況調査 回答結果集計【児童質問紙】(http://www.nier.go.jp/16chousakekkahoukoku/factsheet/data/16p_408.pdf)
大都市では、半数以上の公立小学6年生が塾(家庭教師含む)で勉強していることがわかります。大都市は交通の便が良いほか、塾の校舎数が多いです。そのため、塾通いをしやすい環境にあると考えられますね。また、大都市では地価や家賃が高いため、比較的所得の高い層が多く暮らしています。そのため、積極的に教育費をかける意識の高い家庭が多いことも、大都市の塾通い率を高めているのではないでしょうか。
データ出典:平成28年度全国学力・学習状況調査 回答結果集計【児童質問紙】(http://www.nier.go.jp/16chousakekkahoukoku/factsheet/data/16p_408.pdf)
また、大都市では学校でわからなかった内容を塾で勉強している子の割合が少なめです。学校の勉強を理解するだけでなく、さらに高いレベルの学習をさせる傾向が大都市で見られることが確認できます。学校のフォローを塾に求める割合より、フォローとハイレベル指導の両方を受けている割合が高いことからも、塾に対するニーズが学校よりハイレベルな学習であることがうかがえます。
データ出典:平成28年度全国学力・学習状況調査 回答結果集計【児童質問紙】(http://www.nier.go.jp/16chousakekkahoukoku/factsheet/data/16p_408.pdf)
町村部では、塾を利用していない子の割合が62.3%と、大都市や全国平均と比べて高めです。教育熱が大都市ほど高くないことや、交通の便が悪く塾通いをしづらいことが背景にあるとみられます。もっとも、教育熱に関しては、学力調査のテストで毎年好成績を収める秋田県など、大都市から離れた地域でも比較的熱心な教育が行われているケースはあります。ただし、同じ教育熱があっても、大都市であれば費用をかけて塾通いをさせるのに対して、地方部では親戚を含めた家庭内でのフォローが中心となるようです。大都市エリアでは所得が高い家庭が多いため、塾に費用をかけやすいことも背景として指摘できます。
データ出典:平成28年度全国学力・学習状況調査 回答結果集計【児童質問紙】(http://www.nier.go.jp/16chousakekkahoukoku/factsheet/data/16p_408.pdf)
町村のデータからは、学校よりもレベルの高い内容を塾で学ぶ割合が大都市よりも低いことが読み取れます。まずは学校で習う内容をしっかり理解することが重視されているほか、中学受験の対象となる中学校が近隣に少数であることも一因と考えられます。中学1年生の段階で長時間の通学をすることを負担に感じるご家庭も少なくないでしょうから、町村部ではどうしても中学受験をしづらくなると言えますね。
塾通いをする公立小学生の割合は大都市で高く、町村部では低めです。塾通いの目的にも違いがあるようです。大都市では中学受験勉強など、学校よりもハイレベルな内容を塾で学ぶケースが大半です。いっぽう、町村部ではハイレベルな内容を学ぶ割合は全国平均より低くなっています。学校の勉強をしっかり理解することに重きを置く地方部に対して、少しでもレベルの高い学校に通わせたいと考えるご家庭の割合が高い大都市部の傾向が明確に表れている例ではないでしょうか。
地域ごとに塾通いの有無や目的の傾向には違いがあります。お住まいの地域の実情も踏まえながら、お子様に塾通いをさせるかどうかを考えてみると良いでしょう。
私立小学校や国立小学校では塾通いの割合がさらに高い可能性
全国学習状況調査のデータからわかる塾通いの割合は、公立小学生のものです。小学校には私立や国立もあります。小学校の段階で公立以外を選択しているご家庭は、特に教育熱が高いと考えられます。そのため、私立小学校や国立小学校では、塾通いをする小学生の割合がさらに高いとみられますよ。
私立や国立の小学校が多いのは大都市とその周辺部です。そのため、私立や国立を含めてデータを算出すれば、大都市部と町村部の塾通い率の差はさらに広がるのではないでしょうか。お住まいの地域で小学生が塾に通っている割合が気になったときは、大都市部では公立小学生によるデータの割合よりもさらに高いと考えておくと良いでしょう。