中学受験における集団指導塾と個別指導塾を併用(併塾)のメリット
様々な目的で中学受験をする方が増えています。
より良い将来のためにと親御さんが主導権を握り、家族が一丸となって受験に立ち向かうご家庭は珍しくありません。一般的に小学校3年生の2月から、つまり4年生に進級する約2ヶ月前から塾通いが始まります。
中学受験専門塾の中でも、超難関校合格実績のある塾では、入塾時から競争が始まっていると言っても過言ではありません。
“中学受験を決めたら塾選びが大切”になってくるのですが、まずは集団指導塾で学習を進めていくのが普通のスタイルでしょう。しかし、諸々の事情から個別指導塾を併用つまり併塾をするお子さんも多々いるというのも現状です。
今回は、この併用併塾の目的や効果、どんなメリットがあるのか、そして注意点なども併せてお伝えしていきます。
集団指導塾の特徴は?
中学受験勉強を進めていく上で軸になるのは、“集団指導塾”です。
学年が上がるごとに通う日数や時間も増えていきますよね。
ということは、学習進度のスピードや内容も難易度を増していきます。
中学受験専門の塾では、特に大手のところは生徒も数多いますので、当然レベル別にクラス分けがされています。常に子供たちに競争心をあおり、受験意識を持つ方向付けをなすためにクラス分けテストが頻繁に行われる塾もあります。
そうした環境の中でしっかりと学びを定着させ、志望校合格へ導くのが集団指導塾と言えます。
中学受験は、闘争心なくして成功なしとでも言えるほど、ある意味で過酷な経験です。
それは子供だけでなく、伴走する親御さんにも同じことが言えるでしょう。
集団塾は、合格を勝ち取るための自分との闘いの場であり、周りとの競争の場でもあります。
個別指導塾とは?
集団指導塾について先ほど述べましたが、その一方で“個別指導塾”と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか?
個別指導とは読んで字のごとく、集団ではなく個別で指導してもらうということですね。
ということは、先生とマンツーマン、または生徒2人対先生1という形式もあり得ます。
イメージとしては、苦手な分野や理解できない問題等をじっくりとゆっくりと、分かるまで教えてもらう。他の受験生との闘い競争の場という集団指導塾とは反対に、個別指導塾では周りに他の生徒がいません。ということは自分中心に学べるので、焦ることなく安心して進められます。
個別指導塾へ通う目的
冒頭でお伝えしましたが、集団指導塾(以下、集団)へ通いながら個別指導塾(以下、個別)へ通うお子さんも少なくありません。
週に数回通う集団に加え、個別にも通うとなると様々な点で負担が生じます。
*身体や心(親御さんも含めて)
*塾通いの時間のロス
*経済的な負担 など
これらを考えれば、集団だけで充分と思えるかもしれませんし、実際に個別を併用しなくても志望校合格を勝ち取った受験生は大勢います。
しかし、これらの負担を考えても目的が明確であれば、個別併用をする意味は充分にあります。以下に併塾する目的にはどんなものがあるのか列挙してみます。
何がなんでも合格したい!(これはどんな受験生も同じですね)
- 集団では遅れをとってしまう
- 内向的な性格で集団に圧倒されてしまう
- 先生に質問ができない
- 不得意科目または、分野を徹底的に克服したい
- 得意科目や分野を伸ばしたい
何が何でも合格したい!というのは当たり前の目的です。
1点でも多く点数をとるために、あの手この手で何とかという願いで個別併用をとりあえずする方も実際にいらっしゃいます。しかしこの点については、後に注意点としてお伝えします。
個別指導塾へ通うメリット
個別へ通う目的について、具体例とメリットを挙げていきます。
- 受験勉強のスタートは3年生の2月です。塾も年間や受験までのカリキュラムをしっかり組んでいます。
しかし、全ての受験生がこの時期からスタートをするわけではないのが現状です。
迷った後に4年生の夏から、5年生になってからというお子さんも多々います。
しかし、集団は待ってくれませんし、授業内容もカリキュラ通りに進んでいきます。
特に算数などは中学受験独特の単元が沢山ありますので、途中から入塾した際に戸惑うことが出てくるかもしれません。
しかし不明な単元を放置するのは危険です。そのように遅れをとった分野を習得する目的で、個別併用をするメリットがあります。
- 受験は競争ですから、集団の中で学ぶことに意味があります。しかし内向的でクラスになじめないお子さんもいるでしょう。勉強に集中できないのでは意味がありません。
不明な点が出てきても周りに圧倒されて、思うように授業の中で消化しきれないということもあり得ます。そのような時にも、集団でペースを保ちつつ、個別でじっくりみてもらうというダブル対策にもメリットはあるでしょう。
- 塾によっては授業中に先生がバンバン生徒を当てながら、質問もガンガンして学ぶというスタイルの塾もあります。積極的なタイプであったり、クラスに馴染めるお子さんなら問題ありません。
しかし、疑問点はあるけれど内気な性格で聞けないというタイプだと、分からないのに席に座っているだけという事になってしまう可能性もあります。
もちろん、クラスが合わない。授業が難しすぎる場合には先生に相談をして、クラスを下げてもらったり、場合によっては転塾も視野に入れる選択肢もあります。(しかし、6年生からの転塾はあまりおススメしません。)
不明点を質問し、解決しながらゆっくり進めたいお子さんにも、個別は最適です。
- この目的で個別と併塾するお子さんが圧倒的に多いと言えます。
はじめは集団だけで問題なく進めてきた、または何とかやってこられた。
しかし6年生ともなると夏以降は、過去問を中心に問題演習をこなしていく勉強、模擬試験も増えるなど受験勉強の集大成と化していきます。
この頃には、不得意科目や分野も実感できているはずです。
いつも同じタイプの問題が出来ない。この単元はどうも理解が定着していないなど。
このような時にこそ個別を併用し、徹底的な理解へつなげることをおススメします。
お子さん自身も受験意識は強くなっていますので、苦手分野を一つでも潰し、自信につなげていくためにも、個別併用は大変メリットがあります。
- なぜ得意科目(分野)のために?そう思われる方も少なくないでしょう。
しかしその一方で、この目的で個別を併用するお子さんも案外大勢います。
それは通う時期にもよりますが、やはり受験が差し迫った頃になると、受験生は必要以上の不安や焦燥感に苛まれます。まして中学受験はたった11~12歳の子どもが立ち向かう試練です。そのような時、あれもできないこれもできないと苦手分野にばかり目を向けてしまい、本番に思うように力が発揮できないことも充分考えられます。
その時にこそ得意科目や分野をしっかりと定着させ、難問にもチャレンジし、できる問題を増やす。このような目的で個別併用をすることは大きなメリットです。
個別併用の注意点
個別併用の目的やメリットをお伝えしてきましたが、ここで注意点を少しお話しておきます。
個別を併塾するのは、何がなんでも合格したい!(合格させたい!)という目的のためであることに触れました。確かに目的はたった一つ、志望校に合格することです。
しかし、その中でも具体的な目的が明確でないまま、とりあえず個別にも通うことにはデメリットしか生じません(心身や時間、そして経済的な負担)。
周りが個別にも通っているから、とりあえずダブルスクールをしておけば安心といった安易な考えは避けた方が良いでしょう。
我が子により良い方法は何かを、お子さんの意見もしっかりと取り入れた上で、併塾を検討されることを強くおススメします。
まとめ
いかがでしたか?
集団に加えて個別の併塾をする目的やメリットをお伝えしました。
長い道のり、過酷な道のりではありますが、最後に“合格”というメダルを勝ち取るために、親子二人三脚で中学受験を乗り切っていきましょう。